室内の乾燥対策に便利な「加湿器」。
しかし、この加湿器のせいで肺炎に見舞われる人が後を絶たないという。その名も「加湿器肺炎」。咳や発熱といった風邪に似た症状をもたらし、過去には高齢者の死亡例もある。
加湿器の容器でカビ・細菌が繁殖
なぜ加湿器肺炎が起こるのか、またその対策について、「はしもと内科外科クリニック」(大阪府)の橋本和哉院長にうかがった。
「加湿器から噴霧される水蒸気には、カビやレジオネラ菌といった細菌が含まれていることがあります。加湿器の水を入れておく容器内で、カビや細菌が繁殖するのが原因です。
カビの胞子や細菌は、湿気のある空気中にいくらでも散らばっています。それが加湿器の容器に定着するのですね。
水道水は、塩素で殺菌されているといっても、日なたであれば1日ぐらいで塩素は抜けてしまいます。そこに有機物が少しでも混じっていると、それをエサに繁殖するわけです」
エアコンが引き起こす肺炎と類似
橋本和哉院長によれば、エアコン内にたまったカビやホコリが放出されて、夏型過敏性肺炎を引き起こすのと似ているという。
エアコンの場合の対策は、機器の内部をしっかり清掃すること。同じように、加湿器肺炎の予防策は、定期的に加湿器の容器を洗うことだと、橋本院長はアドバイスする。
さらに、別の考え方についても。
「室内の乾燥を防ぐのに、加湿器そのものを使わないやり方もあります。私がすすめるのは、鼻マスクをすることです。マスクを少し濡らして、つけるのですね。このとき、鼻全体を覆うのではなく、鼻下にマスク上部の縁がつくように装着します。すると、加湿器なしでも鼻腔内に多少の湿度を与えることができます」
■腸内細菌叢を改善して免疫力をつける
加湿器肺炎は、病原体に対して過剰な免疫反応が起こるアレルギーの一種ともいえる。そのため橋本院長は、アレルギーを起こさないよう、免疫力をつけることも大事だと説く。
「免疫力が落ちている人は、たいてい腸内細菌叢に問題を抱えています。免疫細胞の多くは腸内でできるのですが、腸内細菌叢に問題があると免疫細胞が十分に作られません。
乳酸菌が豊富なヨーグルトがいいと考える人は多いですが、むしろ顆粒タイプの乳酸菌を摂るようにします。また、ビタミンB群の一種であるビオチンも意識して摂りましょう。これらは、腸内細菌叢を改善する働きがあります」