英語を勉強し始めて早20年。その大半は受験のための勉強だった。転機が訪れたのは大学4年生の時。初めての彼氏ができた。アラブ人だった。共通言語はもちろんアラビア語。いや、なわけない。そう、英語だ。
LINEの会話も喧嘩も英語。喧嘩は全部負けていた。というか、何を言っているかわからないまま終わっていたから勝ち負けもなかった。つまり、僕には受験用の英語ではなく、実践的な英語がどうしても必要だったのだ。
留学経験がない僕は、英語に触れる機会を自分で作らないといけない。だから、それから毎日アプリを使って英語に触れている。こんな経験が功を奏して、今では英語が飛び交う外資系企業で働いている。
アプリで英語を学習してきた僕が、みなさんにおすすめできるアプリを3つ紹介しよう。何から始めたらいいかわからないと悩んでいる人は、ぜひ参考にしてほしい。
そもそもアプリで英語は学べるのか
答えはYes You Can(But it’s not enough)!
英語を学べるアプリは五万と転がっている。本気を出せば、4技能のリーディング、リスニング、スピーキング、ライティング、全てを網羅できるだろう。
■英語は学ぶ順番が重要!
まずはリーディング。なんと言っても単語力だ。単語がわかればなんとなく相手が言っていることは理解できる。相手の言っていることがわかったら、次は自分の意見を言う練習だ。正確に伝えるには文法が必要になる。スピーキング、ライティングは特に、それぞれに特化したアプリを使い分けるのがいい。
ちなみに僕の場合、単語は『mikan』、文法は『大学受験 英文法』、スピーキングは『Busuu』というアプリを使っている(詳細は後述する)。
■リスニングに必要なアプリはYouTubeとNetflix!?
ちなみに、リスニングに関してはYouTubeとかNetflixとかで外国人が話している英語を字幕で観ながら視聴するのがいいだろう。英語はReductionと呼ばれ、実際に話される時に音が弱くなったり消えたりする。だから、リアルではどんな表現がされるかを聞いて、そのまま真似をするのがおすすめ。家で練習すれば誰も聞いていないし、間違っても恥ずかしくない(そもそも間違って当たり前、それでいい、という気持ちが大切)。
■英語は〝アプリだけ〟では学ぶことができない
しかし、アプリでインプットしただけで満足してはいけない。実際にそれを使ってアウトプットしないと全く身につかないのだ。僕の場合は彼氏を練習台にしたり、英会話教室に通ったりしている。
アウトプットする場所がない!と嘆いている方。嘆いている時間があったら行動に移そう。ネットで調べれば、例えば英語が話せるカフェとか、アプリを使って参加できるコミュニティとか、方法はいくらでもある(そんなの陽キャしかできないよーって?僕は陰キャだけど「英語を話せないままの自分でいいのか!」と心に言い聞かせて外に出ている)。
英語学習歴20年の僕が推したいアプリ3選
ここまで読んでくれた方は、「じゃああんたの英語力はどない?」と思ったことだろう。残念ながら、数字で見せられるものが手元にない。実はTOEFLもIELTSも受けたことがない。申し訳ない。
わかりやすい例では、新卒で入社した外資系企業で2時間の英語面接を乗り越え、最後の1人まで残り(4人最終選考で残っていて、僕以外の3人はアメリカの大学に通っている帰国子女だった)、何とか内定を勝ち取った後、3週間のイギリスでの新人研修を乗り越えた英語力、と言えばイメージしやすいだろうか。今も外資系の企業で働いている。
では、実践的な英語を得意とする僕のおすすめ英語学習アプリを3つ紹介しよう。
(1)『mikan』/おすすめ度★★★★★
強化できる技能:リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング
結構有名なアプリなのですでに認知している方もいるかもしれない。無課金でも使えるが、僕は課金して使っている。中にはいろいろな教材が入っていて、僕はTOEFLテスト英単語3800と、自分で作った単語帳を使用している。日→英、英→日のモードを選べたり、その単語を使った例文が載っていたりと非常に機能やコンテンツが充実していて、何よりバグが全然起きないので安心して使うことができる。
一度スマホを変えた時に引き継ぎがうまくいかなくてサポートに問い合わせたら、迅速に対応してくれたのも評価ポイント。
すでにある教材に加えて、自分オリジナルの単語帳を作ることができるので、教材の中にはないけどビジネス上よく耳にしたり目にしたりする単語をまとめておくと便利だ。
(2)『大学受験 英文法』/おすすめ度★★★
強化できる技能:リーディング、ライティング
文法は、実はアプリで学習するよりも前に、教材で何周もしていたのでこれをメインにというよりは知識が抜けないように使っているに近い(ちなみに教材は『Grammar in Use』というケンブリッジが出している文法書。ポイントは英語で文法を学べる点。より自然な文法や言い回しを学べるので文法は英語で書かれたテキストで学ぶのがおすすめ)。
このアプリには1,600を超える例文が収録されていて、イディオムも学べる。ネイティブはイディオムを多用するので必須の知識といえるだろう。突然だが、「Stop beating around the bush!」と言われて、「beatは叩く?bushは茂み?だから、茂みを叩くのをやめて、だ!」と直訳してしまってはいけない。「回りくどいのはやめて単刀直入に!」という意味だ。文法に加えてこういったイディオムも問題の中に出てくるので参考になる。
星3つとしているのは、このアプリは文法を学ぶ導入として使うのにはおすすめできないから。あくまでも文法を学んだうえでこのアプリを使って補強するイメージだ。
(3)『Busuu』/おすすめ度★★★★★
強化できる技能:スピーキング
このアプリ、僕は無課金で使用している(課金すればシチュエーション別に英語を学ぶことができる)。無課金で使用できる機能に、「写真を見て、それを英語で説明して投稿するとネイティブが添削してくれる」というものがある。1週間に4枚更新されるので、1日ひとつずつピックアップして、それを英語で説明、録音できるのだ。するとその録音を聞いたユーザーが評価してくれるので、よりリアルな表現を学べる。
実はこのアプリの前に、スピーキングを習得する目的で『ELSA』を使っていた。『ELSA』はAIが会話の相手をしてくれて、対話形式で英語を学ぶことができるアプリ。課金して1年間使用していたが、自分で考えて会話を成り立たせるというより、表示された英文を読んで正しい発音で伝える、という形式で、自発的な会話をすることができなかった。何よりもバグが多すぎて、突然フリーズしたり、これまでの学習記録が全部飛んで一からやり直さないといけなかったりで、結局やめてしまった。
その点、『Busuu』はバグがほとんどない。アプリ内にコミュニティがあって、ネイティブとコミュニケーションを取れたり、自分の英語を録音して評価してくれたりするので楽しみながら学べる。
本気で英語を習得するにはどうすればいいのか
いかがだっただろうか。すでにこれ使ってるよ!というアプリもあったかもしれない。初めて知ったアプリがあればぜひ一度使ってみてほしい。
ここまでアプリを使った英語学習を紹介してきたが、金銭的に余裕がある方は海外に身を置くのが一番。言わずもがな、アプリで英語を学習するよりも何倍も早く習得できる。しかし、多くの人の場合(僕がそうであるように)、金銭的余裕も時間的余裕もないだろう。だからと言って諦めてしまってはそこで終わり。
あなたの最も身近に、そうあなたのスマホの中に、英語を学習するツールは豊富に用意されている。SNSを見る時間のうちたった10分ほどを英語学習アプリにあてればいい。そこでインプットした知識を、外でアウトプットする。その繰り返しで少しずつ、しかし着実に力がついていく。
迷っている暇はない!さあ今すぐ、アプリをインストールしよう!
文/コウジミヤモト
1992年生まれ。外資系企業で働く会社員兼ライター。小学生の時に自分の恋愛対象に対して違和感を持ち、高校生の時に自分が男として男性が好きであると認識。大学生で初めてのカミングアウトを経験する。現在は会社の同僚に紹介してもらったパートナーと交際中。