お金を貸す時に借用書はどうしてる？弁護士に聞く借用書の文例と注意点

他人にお金を貸す際には、貸付けの事実や内容を後で証明できるように、借主に借用書を書いてもらいましょう。本記事では借用書について、例文や作成時の注意点などを紹介します。

1. お金を貸す際に借用書を書かせる目的

お金の貸主が借主に借用書を書かせるのは、貸し借りの内容を明確化するためです。

借りた金額や返済すべき時期、利息などについて借用書に明記しておけば、貸し借りの内容がひと目で分かります。

万が一、貸主と借主の間でトラブルが発生した際には、借用書が貸し借りの内容を立証し得る証拠として働きます。

2. 借用書の例文・記載事項

借用書の例文を紹介し、記載事項について簡単に解説しますので、実際に借用書を作成する（作成させる）際の参考としてください。

2-1. 借用書の例文

2-2. 借用書の記載事項（例文に沿って解説）

（1）借入日

実際にお金を借り入れる日を記載します。借用書の日付と同じとすることが多いですが、異なる日付とすることもあります。

（2）返済期日

借りたお金を返すべき日を記載します。一括返済の場合はその期日を、分割返済の場合は各返済期日と返済額を記載します。

（3）返済方法

銀行振込や現金の交付などの返済方法を記載します。振込手数料の負担者についても明記します（借主負担とするのが一般的です）。

（4）利息

利息の計算方法を記載します。無利息の場合は、その旨を記載します。

利息については、元本の額に応じて以下の上限が設けられており、上限を超える部分の利息の合意は無効です（利息制限法1条）。

元本の額が10万円以下の場合：年20％

元本の額が10万円以上100万円未満の場合：年18％

元本の額が100万円以上の場合：年15％

（5）遅延損害金

返済期日の到来後、または期限の利益の喪失後に発生する遅延損害金の利率を記載します。

遅延損害金については、元本の額に応じて以下の上限が設けられており、上限を超える部分の遅延損害金の合意は無効です（利息制限法4条1項）。

元本の額が10万円以下の場合：年29.2％

元本の額が10万円以上100万円未満の場合：年26.28％

元本の額が100万円以上の場合：年21.9％

（6）期限の利益の喪失

分割返済とするときは、返済が遅延した場合には返済期日を待たずに一括で返済する義務が生じる旨を規定します。

3. まとめ

お金を貸す際に借用書を提出させることは、借主とのトラブルに備える観点から非常に重要です。

借主が信用できるように思えても、お金の貸し借りについてはトラブルがつきものなので、念のため必ず借用書を提出してもらいましょう。

取材・文／阿部由羅（弁護士）
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ（全国大会優勝経験あり）、囲碁、将棋。
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