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サイガ保護活動の成功と野生動物たちの漢方薬被害について考える

2024.02.15

動物だけでなく野鳥の被害も深刻

漢方薬ではサイガのように野生動物が原料になることが多く、サイの他にカモシカ、ヤギは現在でも利用されている。熊の胆(い)は日本では飛鳥時代から利用されている生薬で、野生動物由来の漢方薬として、根強い人気がある。

漢方を目的とした野鳥の被害も大きい。「空飛ぶ朝鮮人参」と言われるシマアオジは渡り鳥だが、中国で乱獲されている。フィンランドでは繁殖が確認できず、絶滅したと考えられている。日本では北海道で繁殖するが、2016年に3つがいしか確認できなかった。中国での乱獲がフィンランドと日本に大きな影響を与えている。現在、日本野鳥の会などを中心に、保護活動が行われ、トヨタ自動車が車両を提供するなど民間企業が積極的にボランティア活動を行っている最中である。

最近では香港大学の研究チームが漢方としてセンザンコウを食用した結果、コロナウイルスに感染したという論文を発表している(※1)。センザンコウは固い鱗に覆われた希少哺乳類で、鱗は血行改善や炎症を止める効果がある漢方薬として利用されてきた。

研究チームによるとコウモリから発生したコロナウイルスがセンザンコウに感染し、それを漢方薬として服用した人間がコロナウイルスに感染したという内容だった。中国政府は2020年からセンザンコウの漢方利用を禁止しているが、徹底されていない。

野生動物由来の漢方薬は買わない

野生動物の漢方薬目的とした乱獲被害を減らすために、私達ができることは、買わない、利用しないこと。購入者がいなければ乱獲されない。また、野生動物原料の生薬には科学的裏付けのないケースも多い。厚生労働省は個人輸入した漢方薬に関しては、医師と相談の上で服用するよう、健康被害に対する注意を呼び掛けている。

サイガ保護同盟が「サイガの日」を設定し、啓蒙しているように、数を減らしている動物や野鳥に対する理解も必須だろう。国内での取り組みで最近、注目されているのは、全国37生協が協力して実施しているコープサステナビリティアクションである。

コンテンツの一つが生き物コレクションアプリ「Biome(バイオーム)」内に、身近な生き物を見つけて投稿する「コープいきもの探しクエスト」だ。大人から子どもまで楽しめるゲーム感覚の投稿サイトで、コープの他にもTOPPANホールディングスやくら寿司など企業と連携した企画があり、現在約26000件の投稿がある。生物多様性に関する関心を高めると同時に、どんな生物がどこで観察されたかといった具体的なデータは、大学など研究機関にも利用されている。

ユーモラスな鼻をもつサイガの保護活動が、私たちに教えてくれることは多い。第一歩として、まずは自分の身の回りの生き物の実態を知るところからスタートしたい。

サイガ保護同盟

※1
Identifying SARS-CoV-2-related coronaviruses in Malayan pagolins(2020)

Liu,P.,W.&Chen,J.P.Viral metagenomics revealed Sendai virus and coronavirus infectiom of Malayan pangolins(Manis javanica).Viruses12,11(2019)

文/柿川鮎子

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