症状が出た時は「病院」より「市販薬」が多数派
現れやすいのどの症状や悩みなどが明らかになったが、対策をとっている人はどのくらいいるのか。
まず、のどの症状が出た時の対応について聞くと、「市販薬を飲むことが多い(44.6%)」、「どちらもしない(43.0%)」という回答がそれぞれ4割以上で、「病院に行くことが多い(12.4%)」という回答を上回る結果となった。
病院に行くよりも、市販薬で済ます人が多数派ということがわかる。
のどのケアをするタイミングは、「症状が出始めた時(28.2%)」が最多となった。
「症状に関係なく普段からケアをしている(9.0%)」人や「症状が出そうと察知した時(症状が出る前)(14.8%)」にケアをしている人は約2割と少なく、過半数の人は、症状が出るまでケアをしないということが明らかに。
また、「症状が出ても、のどのケアはしない(24.0%)」という人も2割以上いた。その理由には、「面倒だから」(千葉県・46歳女性、愛知県・54歳男性他)、「ケアしても効果がなさそうだから」(大阪府・50歳女性、山形県・34歳男性他)、「お金がかかるから」(神奈川県・43歳男性、福岡県・48歳男性他)といった声が多く上がっている。
症状に関係なく普段からケアをしている人は、「帰宅後すぐ(42.2%)」、「寝る前(42.2%)」、「寝起きすぐ(35.6%)」というシーンで、のどのケアをしていることが判明。出先よりも、自宅でケアを行なう人が多いようだ。
のどのケアをする人を対象に、どのようなケアをしているかを聞くと、6割以上が「うがいをする(66.8%)」と回答。さらに半数以上が「のど飴・タブレットを舐める(58.2%)」と答えた。
うがいやのど飴は、比較的取り組みやすいケア方法であることが推察できる。また、4割以上が「市販薬を飲む(42.9%)」と回答。やはり、市販薬に頼る人は多いようだが、一方で、のどの症状に効く薬を常備している人は、わずか3割にとどまっている。
のどケアで重要だと思うことを聞いた質問では、特に「のどの乾燥を防ぐ(63.6%)」、「こまめに水分をとる(40.2%)」ことが大切だと認識している人が多くいた。
調査概要
調査テーマ/のどケア事情調査
調査方法/WEBアンケート調査
調査対象者/全国の20代~50代のビジネスパーソン男女 合計500名
調査実施日/2023年12月15日~18日
調査主体/株式会社龍角散
調査機関/株式会社ネオマーケティング
調査結果まとめ〜音声の専門医・渡邊雄介先生 コメント
のどのケアは予防や症状が重くなる前のセルフケアやセルフメディケーションも大切。特に医療現場で咳止め薬などのどの不調に関する薬剤が不足している現状においては、日ごろのケアの重要性はより一層高まっています。
そこで、のどを守るためには、のどが不調をきたす前から潤いを保つこと、さらに線毛の働きを正常に保つことがポイントになります。
■線毛運動とは?
のどには異物やウイルスの侵入を防ぐ「線毛運動」という防御機能が備わっています。のどの内壁には粘膜があり、「線毛」と呼ばれる特別な毛のついた細胞が敷きつめられています。吸い込んだ異物は、のどの粘膜を流れている粘液で捕らえられ、一定方向にビートをうつ線毛の運動によって粘液は流れ、異物は排出されていきます。
■のどの乾燥を防ぐための効果的な予防策
・マスクをつけて眠ること、就寝時に加湿器を付ける、濡れタオルを部屋にかけておく
調査でもよく起きる症状として上がっていますが、寒いこの時期に多いのは、乾燥によるのどの症状です。
例えば、睡眠をとる時に、暖房をかけたまま寝てしまい翌朝のどがカラカラに乾燥している、という体験をした人も多いと思います。
マスクをつけて眠ることや、就寝時できるだけ部屋を乾燥させないように、加湿器を付ける、濡れタオルを部屋にかけておくなどが対策として有効です。
・のどの痛みや咳などの症状が出た時のセルフメディケーション
痛みや咳の症状は乾燥からくるものも多くあります。しっかり水分を摂るようにしましょう。医学的には健康な人の場合、一日1.5リットルは摂取するようにしてください。
また、のどにイガイガ、カサカサなど違和感がある時に、大声を出す、かなり辛いものなど刺激的なものを飲食するとさらに悪化する可能性もあります。
また、乾燥しているのどは線毛が正常に機能していないため、ウイルスが体内に入りやすい状況です。そのため、仕事で長時間話さなくてはいけない場面、水分をこまめに摂れない場面なども要注意です。
■耳鼻咽喉科を受診する目安
もちろん、何かしらのどの症状を感じたタイミングでのどの専門家である耳鼻咽喉科を受診していただくのがベストですが、受診をおすすめする目安として、水分を摂ってもずっとのどが痛い・声がれが治らない、市販薬を飲んで1週間経過しても良くならない、といった場合は早めの受診を勧めます。
これらの症状はなんらかのウイルスや細菌による上気道炎という病気の可能性があるため、専門医での診断治療が不可欠です。
また、これらの症状の中には、呼吸困難に陥り生命が危険になる喉頭蓋炎や感染症だけではなく、のどの悪性腫瘍などの病気が隠れている可能性もあります。
渡邊雄介先生
医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学医学部教授、 山形大学医学部臨床教授、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師。
関連情報
https://www.ryukakusan.co.jp/
構成/清水眞希