企業におけるヒエラルキー以外の組織体系
企業や団体などの組織の形態は、階級化されたものだけではありません。ヒエラルキー組織のデメリットを解消するため、他の形態を採用する企業もあります。
ヒエラルキーと併せて覚えておきたい、反対の意味を持つ言葉やマトリクス組織について理解を深めましょう。
■ヒエラルキーの反対「ホラクラシー組織」
組織内で階級を設けない形態を『ホラクラシー』といい、役職や階級から成り立たない構造の組織をホラクラシー組織といいます。
ホラクラシー組織は管理職を必要とせず、それぞれが大きな責任と決定権を持っていることが特徴です。組織は『サークル』の単位で表され、まとまりを持たせるために進行管理役が設けられます。
メリットは、個々の役割が明確なので生産性が高く、組織に属している人全体の自主性が高いことなどです。一方で、チームワークを保ちづらく、個々のストレスが大きいなどのデメリットもあります。
■複数の組織に所属する「マトリクス組織」
マトリクスとは、基盤や母体を指します。一般的には数学用語として用いられる、格子状に数字を配列したものを指す言葉です。
経営の分野では製造・開発・営業などの職能と、事業部を網の目のように組み合わせた形態の組織を、マトリクス組織といいます。従業員は、職能部に属すると同時に事業部にも属しているので、複数の命令系統に従う形です。
複数の目標に対して同時に取り組む必要があるときに力を発揮する形態であり、状況に応じて柔軟に対応しやすくなります。
ヒエラルキーを用いた関連用語もチェック
一般的なビジネスシーン以外でも、ヒエラルキーに関連した用語が使われることがあります。ヒエラルキーとは何かをより深く理解するために、知っておきたい関連用語もチェックしましょう。
■ヒエラルキーコントロール
リスクマネジメントの分野で必要とされる概念の一つに、ヒエラルキーコントロールがあります。看護業界で使用されており、患者の体液や薬剤などから身を守り、看護師の安全と健康を守るために必要な考え方です。
例えば、ピラミッドの最上位には毒性の強い薬剤の除去や置換、最下位には看護に従事する人がマスクや手袋などをして身を守る、個人防護具が配置されています。
効果や優先度、実践難度が高い順に上から下へと配置され、階層ごとに役割や対策が定められていることが特徴です。
■ビジュアルヒエラルキー
ビジュアルヒエラルキーとは、見てもらいたい情報に順位を付け、視覚的に階層化することです。デザイン業界で使用される用語で、ユーザーに伝えたい情報の優先順位を視覚的に整理する際に用いられます。
重要な情報より補足的な情報の方を目立つデザインにしてしまうと、ユーザーに最も伝えたいメッセージが伝わりません。ユーザーの目的を考えた上で、デザイン性やユーザーにとっての使いやすさを損ねないようにデザインすることが重要です。
主にデザインの現場で、ディスカッションをする際などに「もっとビジュアルヒエラルキーを意識してほしい」のように、使用します。
構成/編集部