愛知県、岐阜県、三重県からなる中部エリアにおいて、もっとも賃貸物件を借りて住みたい街と、もっとも住まいを購入して住みたい街はいったいどこか?
不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」はこのほど、2023年における実際の問合せ数からユーザーの「本気」で住みたい街を算出した、住まい探しの「いま」が分かるランキング「2024年 LIFULL HOME’S みんなが探した!住みたい街ランキング(中部圏版)」を発表した。
<中部圏版> LIFULL HOME’S みんなが探した!借りて住みたい街ランキング
■「岐阜」が6年連続の1位を堅持!若年層からファミリー層までの支持を獲得、名古屋市内の「新栄町」が上昇し“シン・3強体制”に
中部圏「借りて住みたい街」ランキングは、「岐阜」が6年連続で1位を堅持し、圧倒的な支持を集めている。2位も4年連続で「豊橋」となったが、「新栄町」(4位→3位)と「岡崎」(3位→4位)の順位が入れ替わった。
中部圏では従来から名古屋市内の街よりも名古屋市以外の“衛星都市”の人気が高く、ここ数年は「岐阜」「豊橋」「岡崎」の3強体制だったが、今回はそこに名古屋市内の「新栄町」が割って入ったかたちだ。
1位の「岐阜」は、「名古屋」まで快速20分でアクセス可能で、当初はタイムパフォーマンスの良いベッドタウンとして一気に人気が高まったが、近年では物価高騰に伴って名古屋市内の賃料水準が上昇したことで、名古屋市内よりも物価や賃料が安価で、コストパフォーマンスの良さから中部圏の賃貸ユーザーから強い支持を集めている。
駅周辺にはコンパクトに生活利便施設や飲食店などが集積しており、生活するための諸条件がバランスよく整っている。
また、大規模な再開発が行われていないため落ち着いた街並みが残り、若年層だけでなくファミリー層からの支持が高いことも「住みたい街」として選ばれる人気の要因だ。
2位の「豊橋」および4位の「岡崎」も「岐阜」とほぼ同じく、名古屋市内よりも賃料水準が安価なこと、また駅勢圏=駅周辺の繁華性が高いエリアが広くて生活利便施設が整っていること、などの要因によって上位にランクし続けている。
最近「岡崎」では駅周辺でのマンション開発も並行して進み、購入も賃貸も共に居住ニーズが高まっている状況だ。
さらに、同じ西三河エリアの「豊田市」が10位、「東岡崎」も14位にランクインし、専らコストパフォーマンスの良さで同エリアへの注目度が高まっているようだ。
■東山線沿線がランクアップし4駅がTOP10入り!鶴舞線「大須観音」も12ランクアップ
今回3位に浮上した「新栄町」は、名古屋の中心市街地である「栄」および「久屋大通」に極めて近いにもかかわらず、住宅活用が多いエリアで職住近接型の典型的な成功例として根強い人気と賃貸ニーズを維持しており、今後も上位をキープし続ける極めて利便性の高いエリアに位置している。
以下、「藤が丘」(5位→5位)、「一社」(同9位→6位)、「鶴舞」(6位→7位)、「今池」(10位→8位)、「大須観音」(21位→9位)、「豊田市」(7位→10位)という顔ぶれとなり、「大須観音」以外には大きな変化はない。
TOP10以下も「矢場町」や「上社」が大きく順位を上げたのに留まり、全体的に順位に大きな変動がなく、中部圏の賃貸ニーズはある程度固定化していることがうかがえる。
<上位にランクインしている駅の共通点>
(1) 駅周辺の賃貸物件が単身者~ファミリー層まで幅広く豊富にあること
(2) 「名古屋」、「栄」、「久屋大通」などの事業集積地へのアクセスが良好であること
(3) 駅周辺に生活利便施設が揃っていて暮らしやすいこと
(4) ベッドタウンとしての機能をバランス良く満たしていること
「上位にランクインする駅の共通項」が整っているエリアに人気が集中し、順位の変動要因を低くしているものと考えられる。
またコロナ禍を経て、新たな賃貸物件の供給が減少し、需要を喚起する魅力的な賃貸物件が限られることも順位の硬直性を高める要因となっている。
中部圏の特徴は、首都圏および近畿圏と比べると圏域自体が「名古屋市とその周辺エリア」にほぼ限られたコンパクトな構成で、“職住近接”が実現しやすいという利点がある。
ただし、圏域内の移動人口は愛知県からも名古屋市からも僅かな転出超過が続いており、専ら経済的な側面から、郊外方面へもしくは東京・大阪などに転出するケースが増えているため、コンパクトな圏域の機能性が今後薄れる可能性も考慮する必要がある。
■次にくる街はどこだ!「急上昇ランキング」:1位は40ランクアップの「伏見」
ランキングTOP100に入った駅のうち、前回から順位を上げた駅をランクアップの大きい順に並べ、その特徴を探る「急上昇ランキング」。
中部圏で前回から順位を大きく上げたのは名古屋市内の駅が多く、40ランクアップした「伏見」(121位→81位)を筆頭に、「矢場町」(45位→18位)、「上社」(46位→23位)、「庄内通」(52位→34位)、「岩塚」(65位→47位)が急上昇している。
本格的なコロナ後の社会に変化し通勤・通学が前提の生活が戻り、より交通利便性の高いエリアで比較的賃料水準が低いところを探すユーザーが増加。その結果、“コスパ&タイパ”に優れたこれらの駅が注目され、大きく順位を上げたものと考えられる。
「伏見」は「名古屋」も「栄」も徒歩圏で交通利便性が極めて高いエリアのため賃料も10万円前後とやや高水準だったが、賃貸ニーズの“都心回帰”を受けて順位が上昇している。同様に「久屋大通」(109位→89位)も順位を上げている。