オンラインバンキングの不正送金被害額は2023年第3四半期に29億6000万円となり、前四半期の20億2800万円を大きく上回りました。本記事では、この不正送金被害の全国的急増とその背景について詳しく見ていきます。
2023年3Qの不正送金の概要
2023年第3四半期の不正送金は前四半期と比べ、被害額が約1.5倍に拡大しました。オンラインバンキングを利用した不正送金の被害額は、前四半期の20億2800万円から急増し、29億6000万円に達しました。
■事件の発生件数と被害額
不正送金の発生件数は、個人と法人を合わせた1582件となっています。前四半期の1768件から減少しましたが、被害額は19億6600万円から1.5倍以上増加しました。
個人の被害件数は1568件で、被害額は29億2600万円となり、全体の大半を占めています。一方、法人の被害件数は14件で、前四半期の25件から減少し、被害額は3400万円と改善しました。
■前四半期との比較
前四半期と比べ、不正送金の被害額が増加した背景には、フィッシングサイトを利用した詐欺が増えたことが挙げられます。金融機関の補償率は96.9%とやや上昇していますが、不正送金の被害額は個人1件あたりの平均が約187万円と、前四半期の約113万円よりも大幅に増えています。
このような背景もあり、フィッシング対策の充実が求められているのが現状です。関係各所が連携し、不正送金被害の拡大を防ぐための対策を講じる必要があります。
不正送金被害の全国的急増とその背景
近年、全国的にフィッシングサイトによる不正送金被害が急増しています。
金融庁によると、インターネットバンキングを利用した預金の不正送金被害が特に増加しており、被害件数は5,147件、被害額は約80.1億円となり、過去最多を更新しています。
これには様々な要因が関与していますが、まず一つ目は、不正送金行為を行う者達の技術の進化です。フィッシングサイトは、銀行の公式サイトに酷似しており、被害者を誤誘導することで個人情報を入手し、不正送金を行う手口です。そのため、被害者はいかにも正規のサイトであるかのように騙され、安易に情報を提供してしまうことが多くなってしまいます。
二つ目の要因として、インターネットバンキングの利便性が挙げられます。インターネットバンキングは24時間いつでも利用できるため、手軽で便利な反面、不正送金のリスクも高まっています。取引記録をいつでも確認できることから、不正送金が発覚するまでの時間が短くなり、大きな被害が生じる可能性が高いです。
不正送金被害の急増により、金融機関や各種団体、個人も対策を強化していますが、被害の拡大は止まっておらず、今後も予測が困難な状況が続くと言われています。個人の注意喚起やセキュリティ対策の強化、金融機関のセキュリティシステムのさらなる向上が求められています。