目覚ましい進化を続ける人工知能。その技術を悪用した「AI音声詐欺」の被害が今、頻発しているという。その手口はどのようなものなのか?また、AI音声詐欺を回避するための有効策とは?
そんな「AI音声詐欺の最新手口」に関するレポートがこのほど、VPNサービスプロバイダーのNordVPNにより公開された。詳細は以下の通り。
本物そっくりの「自分の偽音声」が脅威に?AI音声詐欺の最新手口
人工知能(AI)の進化により、AI音声詐欺による被害が拡大している。詐欺師たちはオンラインで集めたサンプルからリアルな「偽の声」を作り、被害者の友人や親戚、または同僚からお金やデータを奪い取る。
「高度な機械学習アルゴリズムに基づく安価で効果的な声のクローニングツールによって、著名人を含む、実在する人物の非常に説得力のある偽音声を作成できるようになっている。
詐欺師は偽音声を使用して、家族の一員や企業の幹部など、信頼できる誰かになりすまし、被害者の信頼を勝ち取り、機密情報やお金を奪います」と、NordVPNのサイバーセキュリティ専門家であるアドリアヌス・ワーメンホーフェン氏は述べている。
ユーザーが自発的にSNSにアップロードする膨大な数の動画コンテンツから、イベントやメディアのインタビュー、あるいは日常生活で録音された音声まで、偽音声に使われる音声サンプルは、いくつかの異なる情報源から入手される。とはいえ、増加傾向にあるのは、犯罪者が電話詐欺をする際に音声サンプルを収集するケースだ。
「詐欺師と話していることに気づいても、安全とは限りません。そのような状況では、自分が優位に立っているように感じるかもしれませんが、詐欺師が利用する最先端技術を甘く見てはいけません。通話が録音され、自分の声のサンプルを提供してしまうと、なりすまし詐欺師があなたの友達や家族を騙すために悪用する可能性があります」と、アドリアヌス・ワーメンホーフェン氏は警鐘を鳴らす。
詐欺師が偽音声を利用して、最も警戒心の強い人々さえ騙す一方、高齢者や親は最も狙われやすいターゲットで、日々大金を騙し取られている。
詐欺師がお金をゆすり取る最も一般的な方法は、被害者が信頼している人物になりすまし、交通事故や怪我、警察による薬物の取り調べなど、緊急かつデリケートな架空の話をでっち上げることだ。
アドリアヌス・ワーメンホーフェン氏が、最新のAI音声詐欺を回避するための有効策を紹介する。
●SNSに投稿する内容に注意する
SNSはサイバー犯罪者にとって、一般に利用可能な音声サンプルの宝庫だ。SNSに投稿する内容や、AIツールによって可能になったディープフェイク、音声クローン、その他の詐欺の増加を通して、SNSの投稿がどのようにセキュリティに影響を与える可能性があるかを懸念すべきだ。
●詐欺だとわかったら電話を切る
詐欺師は、最初の電話でお金やデータを奪い取るとは限らない。声のクローニングのために十分な音声サンプルを集めることも、電話の目的かもしれない。
詐欺師と通話をしていることに気づいたら、電話を切り、あなたの声を録音するチャンスを与えないようにしよう。通話中にあなたが話せば話すほど、犯罪者はあなたの声のサンプルをより多く手に入れ、より質の高いクローンを作ることができる。
●行動する前に確認する
見知らぬ番号や発信者情報のない番号からの着信があって、友人や家族、同僚が不自然な要求をしているのを聞いたら、一旦電話を切り、普段使っている方法で連絡をとり、状況をはっきりさせよう。従来の電話やメッセージングアプリなど、いつもと同じ方法で連絡するようにしよう。
出典元:NordVPN
構成/こじへい