KPMGコンサルティングから、AI(人工知能)に対する人々の信頼や認識、AIの運用と管理への期待などについてまとめたレポート「AIは信頼できるか ~AIへの社会的認識の変化に関するグローバル調査2023」(日本語版)が発表された。
本稿では、その概要をお伝えしていく。
このレポートでは、AIへの信頼と受容について、欧米を中心とする世界17か国、1万7千人以上を対象に実施した調査結果と、AIがさらに受け入れられるための4つの要素について解説するとともに、日本の特徴についても分析を行なっている。
主な調査結果
(1)AIの信頼と受容
・61%が、AIを信頼することに懸念を抱いている
・67%が、AIの受容度は「低い」または、「中程度」と回答している
・人事分野でのAIの利用は最も信頼度が低く、受け入れられていないが、医療分野では最も信頼され、受け入れられている
(2)AIの潜在的なメリットとリスク
・85%が、AIはさまざまなメリットをもたらすと考えている
・メリットがリスクを上回ると考えている回答者は半数にとどまる
・84%が、「最も懸念しているのはサイバーセキュリティリスク」と回答している
(3)誰に AIの開発と管理を任せるか
・76~82%が、「国立大学や国立研究機関・防衛機関による AIの開発・利用・管理は信頼でき、公共にとって最善だ」と回答している
・3 分の 1 が、AIの開発・利用・管理において、政府や営利組織を信頼していない
(4)責任あるAI
・75%は、「保証の仕組みが整っていれば、AIをより積極的に信頼する」と考えている
・71%が、AIに対する規制を望んでいる
(5)職場におけるAI
・約半数が、仕事で利用するAIを信頼したいと考えている
・多くの回答者が、人事分野でのAIの活用に抵抗がある
・40%が「自身の仕事はいずれAIに置き換わる」と考えている
(6)AIに関する理解
・半数が、AIについて理解していない、または、いつ、どのように使われるのか理解していない
・45%が、ソーシャルメディアに AIが使われていることを知らない
・82%が、AIについてさらに学びたいと考えている
(7)AIの捉え方はさまざま
・若い世代、大卒者、管理職は、AIをより信頼し、受け入れ、肯定的に捉えている
・新興国の回答者は、他の国よりも AIを信頼し、受け入れ、肯定的に捉えている