「ノートが貼られた」ことを通知する機能
しかし、だからといってデマ投稿を見過ごすわけにもいかない。そして、即効性のなさを補う機能もコミュニティーノートには付加されている。
それは投稿にノートが付いた場合、リポストやいいねを押したユーザーに通知が届くという機能だ。
たとえば、今でもよくあるのが「金配りポスト」である。「この投稿をリポストした人の5名様に10万円プレゼント」というような内容だが、これは「懸賞詐欺」というものでコミュニティノートの常連投稿でもある。個人情報の流出につながったり、特殊詐欺の被害に遭ったり等のトラブルが絶えない。
そうしたことを知らずにリポストしてしまった人に、コミュニティノートが「この投稿は詐欺です」という意味合いの通知を出してくれるというわけだ。
イーロン・マスクにも容赦なし
なお、コミュニティノートは元の投稿の主が誰であろうと、それを付け加えることができる。
イーロン・マスクの投稿がしばしばコミュニティノートを貼られることは有名で、さらに書けばジョー・バイデン米大統領やカマラ・ハリス副大統領の投稿も対象になることも。
アメリカの政治家は大統領でも「自分の政策により失業者が何パーセント減った」というような成果の主張をよく行うが、それに対して「バイデン氏が大統領になる以前からこのような政策がありました」という具合のノートが貼られるというわけだ。
日本の与党の政治家にそういうことがあまりないのは、支持者向けSNSで成果を誇示する習慣(?)がないからだろう。
迷惑系YouTuberには太刀打ちできないのが現状
そんなコミュニティノートだが、これが明確に太刀打ちできない類の投稿もある。
それは「迷惑系YouTuber」のポストだ。
迷惑系、私人逮捕系と呼ばれる人々は、倫理感や情報の信憑性は二の次で行動している。今や誰しもが知っている迷惑系YouTuber(といっても、彼は既にYouTubeからBANされているが)のポストは、コミュニティノートの常連。
彼が何か行動を起こす度にノートに「この人物の行為はこのような犯罪に該当する可能性があります」と指摘されているが、本人は全く反省する様子はない。むしろ、コミュニティノートが彼の心に薪をくべているきらいすら見受けられる。
「コミュニティノートが迷惑系YouTuberをさらに過激化させている」という意見を見かけたことがあるが、筆者はそれに賛成する。残念ながら、迷惑系YouTuberを駆逐できる方法をXは未だ見出していない。
が、それでもコミュニティノートは「悪質な投稿を見抜く」ということでは大いに役立っているのも事実だ。
関連情報:https://help.twitter.com/ja/using-x/community-notes
取材・文/澤田真一