前立腺がんに対する併用療法で無増悪生存期間が延長
根治的治療後に生化学的に再発した前立腺がん患者に対するアンドロゲン除去療法(ADT)では、2種類または3種類の抗アンドロゲン薬を併用することで、単剤を投与する場合よりも無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが、新たな臨床試験で明らかになった。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医学部のRahul Aggarwal氏らによるこの研究結果は、「Journal of Clinical Oncology」に2024年1月23日掲載された。
米国では男性の約8人に1人が前立腺がんに罹患し、毎年、約3万4,000人が前立腺がんにより死亡している。
今回の研究でAggarwal氏らは、前立腺がんの手術後に生化学的再発が確認され、前立腺特異的抗原(PSA)値のダブリングタイムが9カ月以下の男性503人を対象にランダム化比較試験を行い、より強力なADTにより患者の転帰改善が望めるのかどうかを検討した。
生化学的再発とは、PSA値は上昇しているが明らかな再発病巣は認められない場合を指す。
対象者は、52週間にわたりADTを受ける対照群、ADTにアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬のアパルタミドを追加した治療を受ける群(2剤併用群)、さらに、ADTとアパルタミドにアビラテロン酢酸エステル・プレドニゾロンを追加した治療を受ける群(3剤併用群)に1対1対1の割合でランダムに割り付けられた。対象者のPSA中央値は1.8ng/mLだった。
その結果、2剤併用群および3剤併用群の両群で対照群と比べて、PSA値で判定したPFS中央値が有意に延長することが明らかになった(2剤併用群:24.9カ月対20.3カ月、ハザード比0.52、95%信頼区間0.35〜0.77、P=0.00047、3剤併用群:26.0カ月対20.0カ月、ハザード比0.48、95%信頼区間0.32〜0.71、P=0.00008)。
治療後のテストステロン値の回復速度に3群間で有意な差は認められなかった。
有害事象は、全ての対象者に倦怠感、ほてり、性欲減退などが生じた。また、グレード3以上の有害事象として、高血圧が対照群の7.5%、2剤併用群の7.4%、3剤併用群の18%に生じた。
Aggarwal氏は、「われわれの目標は、いくつかの異なるADTをテストして、がんの進行を遅らせるという点で最良のアプローチを見つけることだった」と話す。
そして、「得られた結果は、リスクの高い前立腺がん患者に対する、より強力なADTを支持するエビデンスに新たに加わる結果だ」と述べている。
研究グループはさらなる追跡調査を行い、それぞれの併用療法群がどのような経過をたどるのかをより詳細に分析する予定であると話している。
Aggarwal氏は、「新しいがん治療を患者に提供できるようになるまでには、高いハードルを越えなければならない。今回の研究結果や他のエビデンスを考慮すると、ホルモン剤の併用療法は、治療後の再発リスクが高い前立腺がん患者における標準治療とみなされるべきだ」と主張している。(HealthDay News 2024年1月25日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.23.01157
Press Release
https://www.ucsf.edu/news/2024/01/426971/could-two-drugs-be-better-one-treating-prostate-cancer
構成/DIME編集部