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ニューヨークや中東で展開するフランス発のデザイン寿司チェーン「SUSHI SHOP」とは?

2024.02.09

世界で人気を博す日本料理の代表格といえばもちろん寿司。私の住むフランスも然り、みんなスシが大好きだ。

驚いたことに、2021年に行われたファーストフード業界のカテゴリー別売り上げランキングでは、テイクアウト部門でスシがトップに輝いた。マクドナルドが君臨するハンバーガーや、KFCが王国を築くフライドチキンを抑えてだ。

パリ市内にある、寿司チェーン店「SUSHI SHOP」。季節ごとに登場する有名シェフなどとコラボした「寿司の折り詰め」(フランスでは折箱に入っていることから「寿司ボックス」と呼ばれる)」が人気

パリの街並みにもすっかり馴染んでいる寿司屋。チェーン店だけでなく、個人経営の店も多くある

海外の寿司と聞くと、L A発のカリフォルニアロールなど、いわゆる現地流にアレンジされた「創作寿司」を想像する人も多いだろう。

昨今、日本ではこうした寿司を、逆輸入グルメとして提供する店も増えてきた。というわけで、今回は筆者の住むフランスで、まだ日本には上陸していないけれど、現地で人気を集めるご当地寿司を紹介したい。

世界三大料理の一つを生み出したグルメ大国では、どのような寿司が食べられているのだろうか?

美味しさと美しさを兼ね揃えた日仏ヒュージョン料理に進化

1998年にフランスで誕生したファーストフード店の「SUSHI SHOP」。現在はフランス全土のみならずヨーロッパ諸国、さらにはニューヨークや中東の国々にも出店するなどその勢いは止まらない。

近年、世界の多くの場所で寿司屋は存在している。中には日本からの寿司職人を招き、本場の味を楽しめる店も少なくない。

それではなぜ、フランスの「SUSHI SHOP」がここまでの大規模な事業展開を可能にするのか?そこにはこの国らしいエスプリ香るこだわりが隠されていた!

以前は、厚みのある漆黒の高級紙袋に入っていた「SUSHI SHOP」の寿司。昨今は地球環境への配慮なのか、紙袋は多少簡素なものに置き換わった

筆者が暮らすパリでは、20店舗以上を展開している「SUSHI SHOP」。今回、実際に寿司を買って食べてみた。

まずは店内でメニューをチェック。日本の寿司といえば、マグロやタイ、ウニ、いくらなど、数十種類の豊富な海の幸がネタとして並ぶ。

しかし「SUSHI SHOP」の魚介系ネタは、サーモン、マグロ、エビを筆頭にせいぜい6、7種類。それとは相反するように陸のネタが圧倒的に目を惹く。

ルッコラ、さつまいも、ココナッツ、ライム、紫キャベツ、マンゴー、金柑、唐辛子など、クラシックな寿司を求める人にとっては度肝を抜かれるラインナップだ。

スペインはバルセロナのひとつ星レストランのシェフと手掛けた期間限定の寿司ボックス

この日は、期間限定の寿司ボックスを選んだ。バルセロナのミシュランひとつ星レストランのシャフ、アルベール・アドリアとのコラボ商品とのこと(「SUSHI SHOP」は、定期的にスターシェフ<ジョエル・ロブションやケイ・コバヤシなど>を招いて期間限定のお寿司を提案している)。

一見すると、アクセサリーでも入っているかのような、光沢感のあるボックスの中に、彩鮮やかな寿司が23巻入って26.9ユーロ(2024年2月現在のレートで約4300円)。

さらにフランスらしさも求めて、「カリフォルニア・フレンチ・タッチ」という同店自慢の巻き寿司も買ってみた。

限定の寿司ボックスの中。左下は生春巻きの皮で包まれたオムレツ入りの巻き寿司。海苔が苦手な人もいるようで、春巻きの皮で巻かれた寿司は一般的。下段の真ん中は、椎茸を甘辛く煮たものをネタにした軍艦。右下はチキンカツ入り

寿司ボックスの中のメインは2種類。押し寿司を連想させる形の「スパイシー・ツナ・ハコ」と「サーモン・ハコ」だ。

スパイシー・ハコは、マグロの漬けの上に七味とタピオカを醤油でマリネしたものが乗っている!一体どんな味なのか、まずはタピオカだけ食べてみた。

タピオカのもっちりとした食感はそのままに、醤油の味がダイレクトに広がる。唐辛子がピリッと効いたマグロの漬けと一緒に食べると、さほど奇抜な感じにはならない。

日本でこの組み合わせを食べたことはなかったが、相性はなかなか良い。

季節限定ボックスのメインの一つ「スパイシー・ツナ・ハコ」。一瞬イクラかと思ったものは、まさかのタピオカ!七味がたっぷりかかっている

もう一つの押し寿司系「サーモン・ハコ」にはサーモンの刺身、アボガド、いくら、青のり、わさびマヨネーズ、さらには北アフリカの煮込み料理、タジンで使われるスパイスまで乗っている!

タジンのスパイスに興味を惹かれつつ、食べてみると意外にもスパイスの存在感は控えめで、初めての寿司というよりは親しみやすい回転寿司のような味に仕上がっていた。

「サーモン・ハコ」。赤い粉は北アフリカの定番煮込み料理タジンに使うスパイス

続いては、「シソ・スシ」という名前の握り。鯛の切り身の上には紫蘇の葉と練り梅とともにハイビスカスのパウダーが!後味にほんのり花の香りのする酸味が美味。上品な味わいだ。

フランス人にとって、練り梅とシソの酸っぱさだけではストレートすぎる味かもしれない。紅茶などで馴染みのあるハイビスカスの酸味を効かせているところが粋だ

おまけで買った「カリフォルニア・フレンチ・タッチ」は個人的にとても美味しかった。フォアグラとイチジクのジャムというフランス料理では王道とも言える組み合わせ。

普段はパンの上で奏でられるハーモニーだが、酢飯との相性も良い。濃厚なフォアグラと甘いジャムと共に、シャリの周りについているナッツの風味が口の中に広がり絶妙だ。

フランスでは、クリスマスなどに「パンデピス」というスパイスの効いた甘いパンの上にフォアグラといちじくのジャムを載せるのが定番。6個入りで7.9ユーロ(約1200円)

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