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ZOZOSUITを用いた四肢測定がリンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性

2024.02.05

公益財団法人がん研究会 有明病院形成外科の辛川領氏、矢野智之氏とZOZOは、共同研究により、同社が開発した3D計測用ボディスーツZOZOSUITと検証用に開発したリンパ浮腫専用のスマホアプリを用いて、がん術後の二次性リンパ浮腫患者(ISL分類I~IIb期)(注1)の四肢周径測定が可能かの検討を行なった。

その研究成果として、同デバイスを用いた四肢周径測定がリンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性が示唆された。

今回の研究成果は、辛川氏らによりAnnual meeting of American Society of Reconstructive Microsurgery(米国再建マイクロサージャリー学会)(2024年1月12日~1月16日)で発表された。

日本で推定15万人以上の発症者がいると言われている「リンパ浮腫」は、重症化を防ぐために早期発見と早期かつ適切な介入が重要。

しかし、患者数に対してリンパ浮腫を診察可能な施設は少なく、本来介入されるべき早期例や軽症例のリンパ浮腫患者に介入が行き届いていないという問題がある。

今回のZOZOSUITを用いた新たな方法では、簡易に短時間で、かつ、精度が高く測定できるため、リンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性が示唆されたという。

本技術を応用することで、検査者なしに非侵襲的に自宅で繰り返しリンパ浮腫の治療効果判定、早期発見、早期介入を可能にする新規診断ツールの開発につながることが期待される。

研究の内容

今回、研究チームはZOZOとの共同研究により同社が開発した3D計測用ボディスーツZOZOSUITと検証用に開発したリンパ浮腫専用のスマホアプリを用いて、がん術後の二次性リンパ浮腫患者(ISL分類I~IIb期)の四肢周径測定が可能かの検討を行なった。

被験者はZOZOSUITを装着した状態で、1.5m離した位置に設置したスマホのアプリの指示に従い、30°ずつ向きを変えていき、12枚の写真を撮影。

撮像した12枚の写真からアプリ内で自動的に体表の3Dモデルが生成され、このモデルから取得したリンパ浮腫診療で重要な測定点の周径測定値を抽出する。

今回の研究では、このシステムを用いた方法の反復測定の精度検証や、従来のリンパ浮腫治療従事者による手計測との周径測定値や計測時間の比較を行なった。

反復測定における全測定点の平均誤差が10mm未満で、従来の測定方法との平均絶対誤差は概ね20mm未満だった。

さらに、このシステムによる測定時間は、手計測に比べ、有意に短いものだった(86秒vs.235秒, p<0.001)。精度が高く、短時間で簡易に測定できるため、リンパ浮腫の評価システムとして有用である可能性が示唆されたという。

今後の展望

研究の結果から、本技術を応用することで、将来的には検査者なしに非侵襲的に自宅で繰り返しリンパ浮腫の治療効果判定、早期発見、早期介入を可能にする新規診断ツールの開発につながることが期待される。

さらには、本システムを用いた精度の高いデータ蓄積から、未解決課題の多いリンパ浮腫治療におけるエビデンスの構築につながる可能性も。

実用化にむけてはまだ課題もあるというが、本技術を応用したリンパ浮腫評価システム開発が可能となれば、重症化されるまで見逃されていたリンパ浮腫患者を適切なタイミングで検知・医療機関に誘導できる、リンパ浮腫治療の遠隔診療が可能となる、などの患者への恩恵が期待できる。

大掛かりな手術治療を回避することができる症例が増えることは患者へのメリットのみならず、医療経済的なメリットにも繋がると考えられる。

図1:「リンパ浮腫」の症例イメージ

<共同研究について>
本研究は、公益財団法人がん研究会 有明病院とZOZOの共同研究により実施された。
■研究課題名:リンパ浮腫における、採寸用ボディスーツおよびスマートフォンを用いた、四肢周径測定方法の実行可能性および有用性の検討
■研究代表者名(所属機関名):辛川 領 (有明病院形成外科・副医長)
研究チーム:
公益財団法人がん研究会 有明病院
形成外科
矢野智之(部長)
吉松英彦(副部長)
リンパケアルーム
小笠原麻衣子(セラピスト)
宇津木久仁子(室長)
株式会社ZOZO
川端医院

<用語解説>
(注1)ISL分類I~IIb期:国際リンパ学会(International Society of Lymphology: ISL)分類。
0期:リンパ液輸送が障害されているが、浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態。
I期:比較的蛋白成分が多い組織間液が貯留しているが、まだ初期であり、四肢を挙げることにより治る。圧痕がみられることもある。
IIa期:四肢の挙上だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり、圧痕がはっきりする。
IIb期:組織の繊維化がみられ、圧痕がみられなくなる。
III期:圧痕がみられないリンパ液鬱滞性象皮病のほか、アカントーシス、脂肪沈着などの皮膚変化がみられるようになる。

関連情報:https://corp.zozo.com/news/20240125-jfcr-zozo/

構成/ob1

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