裁判所のジャッジ
裁判所が認めたのは以下の項目です。
・不貞vol.1の慰謝料 150万円
・不貞vol.2の慰謝料 50万円
・違約金 150万円
▼ 誓約書へのサインは強迫?
マサオ
「違約金150万は納得できません。サインするよう強迫されたんです!なのでこの違約金の合意を取り消します」
民法 第96条
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
裁判所
「ムリっす。たしかに夫に突然呼び出されカナリ緊張していたし、激写された写真を突きつけられ精神的に参っていたことでしょう。しかし!誓約書に書いている内容については、精神的に参っていたとしても理解できるものです。呼び出された場所も密室などではなくファミレスですよね。公の場所です。そして、時間は2時間30分程度です。しかも夫はアナタに暴言を吐いたりしていません。よって強迫はなかったと認定します。これにて閉廷!」
▼ 違約金1000万円は無理?
夫
「ちょっと待ってください!誓約書には『今度連絡したら1000万円払う』と書かれてあります。なんで150万円しか認められないんですか!」
裁判所
「たけぇのよ。著しく合理性を欠く部分は公序良俗に反するので150万円が限度と認定しました。旦那さん、違約金を1000万円にした理由は何ですか?」
夫
「インターネットで調べたところ、違約金は慰謝料の2倍~3倍に設定するのがいいと書かれていたからです。慰謝料500万円として2倍の1000万円に設定しました」
裁判所
「法的根拠がありませんな。慰謝料が500万円ってことも、違約金を2~3倍に設定できるということも、どちらも法的根拠ナシです」
というわけで今回のケースでは違約金は150万円が上限となりました。でもまぁ、配偶者の浮気相手にお仕置きをする時は、ちょい高めの違約金を書いた誓約書にサインしてもらうのがいいですね。
裁判官が「これくらいは違約金をもらっていいでしょ!」というラッキーパンチを与えてくれるかもしれませんから。仮に高すぎたとしても裁判所が相場の金額を認定するだけで、マイナスにはなりません。
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取材・文/林 孝匡(弁護士)
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