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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
「私の妻とSEXしやがって」
「今度、妻に会ったら1000万円払え」
「はい、ここにサインして」
こんな誓約書は認められるのでしょうか?
裁判所
「た、たけぇわ……。150万円だけ認める」
そんな事件をお届けします。(東京地裁 H25.12.4)
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
職場不倫です。みなさん同じ職場で働いていました。
・夫
・妻(以下「京子」)
・不倫相手の既婚男性(以下「マサオ」)
どんな事件か
▼ 不倫関係
京子とマサオは不倫関係に陥り、少なくとも20回は肉体関係を持ちました。
なんと!夫が暮らしている家で肉体関係を持つこともありました。アウェイでの秘め事、肝がすわってますよね。その後、京子は妊娠し中絶しました。
▼ 夫が探偵に依頼
京子とマサオが不倫関係に入って6ヶ月くらい経ったころ、夫は探偵に依頼します。
そして、不倫の証拠をゲットしました。判決文には写真と書いてあったので、ラブホへ出入りする時の写真などでしょう。
▼ キサマ、顔貸せや
2週間後、夫は職場にTELしてマサオをガストに呼び出しました。
――マサオさん、ついにバレたって感じですか?
マサオ
「いや、用件を教えてくれなかったので何の話か分からないままガストに行きました」
マサオが席につくと、夫は探偵の撮った写真などを突きつけました。マサオはテンパり、初めは不倫を否定していましたが、2時間半に及ぶ話し合いの中でついに観念しました。
▼ 誓約書にサイン
夫は、誓約書へのサインをマサオに求めました。その誓約書には以下の記載がありました。
・私は、京子に配偶者がいることを知りながら性交渉を行い、不貞な関係にあったことを認め、配偶者に精神的苦痛を与えたことを申し訳なく思う。
・精神的苦痛に対する慰謝料を支払う。
・今後、京子に会うことはもちろん、一切の電話・メール・手紙・面会等で連絡をとることはしない。職務上においても必要最小限以外のコンタクトをとらないことを約束する。
・万が一、違反した場合には、違約金として1000万円を支払う。
これで2人の恋は終わった……と思いきや!
▼ 翌日には会っちゃう
マサオはソッコーで約束を破っちゃいます。翌日には京子に会ってしまったのです。その4日後にも会います。
▼ 夫、激怒
まずは慰謝料請求です。夫はマサオに「慰謝料400万円払え」という書面を送りました。
▼ 違約金1000万円払えー
お次は「違約金1000万円払え」という書面を送りました。
▼ 再び不倫関係に
マサオは京子をあきらめることができなかったのでしょう。京子にメールで「ごめんなさい。悩みに悩んで、とうとうメールしてしまいました。元気にしていますか?」と送信しました。そして、再び肉体関係を持つ関係となりました。
夫は再び探偵に依頼して証拠をつかみました。ついに夫は【マサオの妻】にも連絡。マサオ、The・Endです。ついにマサオと京子は別れることになりました。
ちなみに京子と夫も、この時には離婚を前提とした別居状態にありました。
▼ 提訴
夫はマサオに対して1943万円の賠償を求めて提訴しました。内訳は以下のとおり。
・不貞vol.1の慰謝料
・不貞vol.2の慰謝料
・調査費用
・別居に伴う引っ越し代
・違約金1000万円