フライパンに残った汚れも張りつき、焦げつきになる理由のひとつ
届いたフライパンを同社が解析する中で、フライパンの汚れも張りつきの要因になっていることが判明。そこで「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトに洗剤メーカーの「ライオン」の研究開発本部も参加、共同で検証を開始した。
ライオン 快適生活研究所 リビングマイスターの杉本美穂氏から、フッ素樹脂加工のフライパンの洗い方や使い方の注意点について教えてもらった。
フライパンを洗うときは洗剤を使ってしっかりと汚れを落とす。スポンジは金属製や研磨粒子がついていない、表面加工を傷つけないものを選ぶ。スポンジをあらかじめ水で濡らして軽く絞ってから洗剤をつけて、5回くらいもみ込んでなじませてからからやさしく洗う。
内側底面から順に洗っていき、内側の側面、さらにはフライパンの底裏や外側側面、取手の部分も忘れずに洗う。
汚れ、洗剤を残さないように丁寧に水ですすぐ。お湯を使ってすすぐとより効果的。終わったら水滴を拭き取って乾かす。火をつけて乾かす空焚きはフッ素樹脂加工の場合は厳禁。
フライパンには寿命があり、フッ素樹脂加工効果を長持ちさせるために、やってはいけないNG行動が「急激な温度変化」「高温での使用」「汚れの残存」「表面を傷つける」の4点。
今回集まったフライパンの中では焦げているフライパンが多かったという。先のNG行動にもあったようにフッ素樹脂加工のフライパンは強火での調理は禁止。「ギョーザ」も中火での調理だが、この中火の加減が、調理する人の感覚や、使っているコンロによっても異なるため、思った以上に強火で調理してしまっていることもあり注意したいところ。
【AJの読み】劣化したフライパンでの調理まで想定した“永久改良”の姿勢に脱帽
筆者自身、味の素「ギョーザ」を調理して失敗したことなど一度もないため(それだけ簡単にだれでもきれいに焼ける)、フライパンに張りついたり、焦げたり、逆に焼き色がつかないことなどあるのか?と疑問に思っていたが、「冷凍餃子フライパンチャレンジ」で集められたフライパンを見てようやく納得した。
フッ素樹脂加工のフライパンは寿命があり、筆者は2年程度を目安に交換しているが、集まったフライパンは、おそらく5年以上は使っているだろうと思われる、明らかに劣化したものばかり。なぜ古いフライパンを使い続けるのか?とさらに疑問がわいたが、捨てられない理由があるようだ。
送られたフライパンには、「上京したときに初めて買ってもらった思い出のフライパン」、「学生時代から10年以上使い、思い入れがあって捨てられず大事に持っていた」など、フライパンに対する思いをつづったメッセージが添えられていたものも多くあったそうだ。
「私たちはだれでも簡単に失敗なく羽根つき餃子が焼けたときの感動体験をお届けしたいと思っています。しかし、それがまだ実感できていない方がたくさんいたということは、そういう製品設計になっていたのだと改めて実感し、今回の改良につながりました」(駒木根氏)
劣化したフライパンでもきれいに羽根つき餃子を焼けるようにしたいという、同社の開発者の姿勢には脱帽。「冷凍餃子フライパンチャレンジ」の検証の進捗は「note」にて発信している。
文/阿部純子