生命保険料控除拡大で得する人とは?
子育て世代が生命保険料控除額証明書を確認してみると、一般生命保険料の金額が大きいことに驚くのではないだろうか。一般生命保険料に区分される保険料は、学資保険や死亡保険と、子供の教育資金や自分に万一のときにために家族のために加入しているものが多い。特に学資保険や定期ではない終身死亡保険であれば、貯蓄性が高いため、その保険料が高額になりやすい。逆に、遠い将来で60歳以降まで資金が縛られてしまう個人年金保険料の枠が利用していないという人も多いだろう。
2023年12月に公表された令和6年度税制改正では、扶養控除の見直しより、不利益が生じないよう適切な措置をする記載されている。具体的には、扶養控除等の見直しと合わせて、子育て支援税制として令和7年度税制において以下のように、一般生命保険料控除額を現行の最大4万円から6万円へ拡大する見通しだ。一方、生命保険料全体の最大控除額は12万円と変わらない。
(参考)
2023年12月金融庁 令和6年度税制改正について
01.pdf (fsa.go.jp)
生命保険料全体の控除上限額は変わらないものの、子育て世代が支払っている保険料が大きい一般生命保険料が大きくなるため、以前より控除額が大きくなる人は多いかもしれない。例えば、学資保険毎月1万円(年間12万円)、死亡保険毎月1万円(年間12万円)、医療保険毎月5,000円(年間6万円)支払っていた人はこれまでは以下のような控除額だった。(全て新契約とする)。
・一般生命保険料控除額
12万円+12万円=24万円>8万円超 ∴4万円
・介護医療保険料
6万円×1/4+2万円=3.5万円
・個人年金保険料控除額
なし
合計生命保険料控除額:7.5万円
2025年分から一般生命保険料控除額が拡大された場合、以下の控除額となる。
・一般生命保険料控除額
12万円+12万円=24万円>12万円超 ∴6万円
・介護医療保険料
6万円×1/4+2万円=3.5万円
・個人年金保険料控除額
なし
合計生命保険料控除額:9.5万円
このように、個人年金保険料は支払っておらず、一般生命保険料の支払額が大きい人は、以前の制度より、控除額が大きくなる。合わせて住民税の一般生命保険料の控除額も拡大される予定である。控除額×(所得税率+住民税の10%分)の税金が軽減される。所得税は所得が高いほど税率が高くなるため、所得が高い人ほどその恩恵が高くなる。
なお、これまで最大12万円の控除額を受けていた人は、控除額の上限は改正されても変わらないため、これまで同様12万円の控除額を受けられる。また、介護医療保険料と個人年金保険料の控除額上限も変わらないため、これまで控除を受けた人の控除額が減るわけではない。
(参考)
令和6年度税制改正の大綱
20231222taikou.pdf (mof.go.jp)
2023年12月金融庁 令和6年度税制改正について
01.pdf (fsa.go.jp)
文/大堀貴子