コーヒーブランド「ジョージア」と九州大学発のベンチャー企業であるUniversal Mind(以下「UM」)は、共同で感情に作用するコーヒーの香りに関する効果検証試験を実施。
「ジョージア」の現行品と改良品のコーヒーをそれぞれ飲用して脳波を測定し比較した際に、快・不快を表すパラメーターであるValenceが上昇し、改良品で有意に上昇したことを明らかにした。
Valenceは快・不快を表す指標で、Valenceが高いほど、より快の状態に近いことを示す。Valenceと脳波活動の関係は長年研究されており、特定の脳波活動との関係が報告されている。
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“コーヒーの香り”を科学的アプローチで研究する背景
一般的にリラックスや集中するときにコーヒーの香りがよいとされているが、「ジョージア」ブランドとして数値化したデータ解析は行なっていなかった。
一方、「ジョージア」は香りをはじめとするコーヒーの研究に取り組んでおり、2023年春以降は“気持ちやわらぐコーヒーの香り”をはじめとした、五感を刺激するコーヒー体験をお届けすることをテーマに掲げている。
今回、「ジョージア」とUMの共同研究チームは、コーヒーの香りによる感情と脳波との関係性に着目。コーヒーの香りがどのように感情に影響を及ぼすかを脳神経科学の見地から解明しようと試みた。
実証実験プロセスと結果
当試験では現行品と改良品を飲用して飲用後の脳波測定を行なった。
予備試験による知見をふまえて作成した改良品で、現行品に対してValenceの値が有意に上昇する結果が得られた。今回Valenceの値に差が見られた改良品は、現行品より深煎りの香りが感じられるように設計したものだという。
■研究者コメント
株式会社コカ・コーラ東京研究開発センター
グローバルコーヒーチーム プロジェクトマネジャー 網野 紗与 氏
コーヒーの味を構成する要素は様々ですが、その中でも香りがもつ影響はとても大きく、我々のこれまでの研究からも、コーヒーの香りが味に大きく影響を与えることがわかっています。
「ジョージア」では、長年香りについて研究しており、コーヒー本来の甘みや香りを最大限引き出し封じ込める「アロマ密封焙煎」や淹れたての香り・挽きたての香りを封じ込める「ダブルアロマ密封技術」をはじめとする様々な独自の技術を作り上げてきました。
コーヒーの香りについては、一般的にリラックスする、落ち着く、集中できるなどと知られていますが、「ジョージア」ブランドとして実際に効果の検証まではされていない状況でした。そこで、「ジョージア」ではこの香りの効能についてより一歩踏み込むことで、お客様にさらに価値のあるコーヒーを届けたいという思いで研究に着手しました。
今回の研究を通して、脳神経科学の見地で、コーヒーの香りが感情に与える影響が明らかになってきたという実感があります。今後はこの知見を活かして、引き続き「ジョージア」のコーヒーで皆さまが自分らしく生き生きと過ごせるような研究を進めていきたいと思います。
■実験結果に対する第三者意見
株式会社Universal Mind 代表取締役社長 奥田 一貴 氏
今回の実験から、実証実験で飲用された「ジョージア」の改良品では、コーヒーを飲用後、脳波測定により算出された心地よさなどを示唆するValenceの値が現行品と比較して有意に高まることがわかりました。
このことから、「ジョージア」において長年行われてきていた香りについて研究などを活かした今回の改良品が、当初目指されていた気持ちがやわらぐようなコーヒーに近づいたとも考えることができるのではないかと考えています。
今回の実験結果は、「ジョージア」ブランドのコーヒーが脳内に与える影響を解析した試みになります。
味や香りの効果が注目され、数値化され始めている昨今において、今後販売されていく飲料に関してその効果を人間の感じ方、脳活動という観点で確認していくことは大切な要素になっていくと感じています。
今回は脳波を用いた探索的な実験を行いましたが、今後はMRIを用いた脳機能に関する研究を、被験者を増やして実験を行なっていくことで、飲料の味や香りがどのように影響を及ぼすのかという点を”脳”という観点で明らかにしていきたいと考えています。
奥田 一貴 氏
九州大学医学部卒業。医師。医学部在学時には脳機能解析・神経調節を中心に研究。研究の傍らAI医療機器ベンチャーの立ち上げに従事し、その後2018年Universal Mind CEOに就任。
関連情報
https://www.coca-cola.com/jp/ja
構成/清水眞希