廃墟でも家族一緒なら楽しい!そんな亭主に家族の反応は?
御成座は映画館だが、映画上映のみならず、プロレスや落語など多彩なイベントが開催されている。また、御成座は切替さん一家の住まいでもある。千葉から家族で移り住み、映画館を再開させた理由は何だったのだろうか?
「秋田に移住してまで再開させたのは子供の頃から映画が好きで、大画面で好きな映画を観たり、ゲームをしたいという希望が叶うのがこの場所だったからです。映画館としての営業も面白そうだし。素直な気持ちで動くというB型の性格が原因です笑」
もちろん、御成座にも大きな魅力を感じていた。
「元々ある映画館を自分で自由に切ったり壊したり作ったり改造したり出来る住居は楽しいものです。そしてそこにはお客様が来て、建物を見てレトロですねと皆さんに喜ばれる。そして、雪国。千葉県育ちに雪は憧れでもあったので御成座に惚れました」
しかし、家族は大変だったのでは?
「実は千葉に家を建てて、住み始めてまだ5年しか経ってなかったので、新築から築65年の廃墟への移住はかなり大変だったかもしれません。でも、家族一緒なら廃墟も楽しい。妻は我慢しながらも楽しみを見つけて頑張ってくれてます」
まさか、新築を捨ててまで秋田への移住を決めたとは。切替さんにとって御成座は人生を懸けて応援したい究極の“推しメン”だったのかもしれない。
これからの御成座は、どこに向かって進んでいくのか?
「お客様を楽しませるという大前提のもと、経営している側が楽しい事はどんどんやっていきたいと思ってます。損得勘定や常識は後回し」
「イベントも色々やってきましたが、実はそのほとんどが一般のお客様が主催のイベントなんです。つまり、『御成座でこんなイベントをやりたい』というお客様が沢山居ることが凄い事で幸せだと思っています。なので、これからも面白いイベントはどんどんやっていきたいですね」
そして最後に「映画館」としての思いも語ってもらった。
「近年の大資本が経営するシネコン、遊園地が提供するアトラクション、視聴効果などの発達は凄いし羨ましい。ただ、街の映画館がそれを真似ても仕方がない。ではどうすればいいのかを考えた時に私たちはもっと簡単に、もっと小回りの効く方法でお客様を楽しませる事が出来ると思っています。映画を観に来るお客様と映画館が近いのが御成座の魅力であり武器。それを活かしてこれからも映画の魅力、御成座の魅力、秋田の魅力を広めていきたいですね」
文/太田ポーシャ