廃棄されていたカカオの皮をアップサイクル!8つのクラフトビールブルワリーが手がけた「チョコ風味ビール」プロジェクト
2024.01.31■連載/阿部純子のトレンド探検隊
カカオ豆の皮をアップサイクルする「CACAOMOIプロジェクト」
2022年に設立されたアサヒグループの新会社「アサヒユウアス」は、“共創の力で循環型社会を作る”を事業の目的に掲げ、企業、NPO、アカデミア、行政など、さまざまな地域のステークホルダーと共創して社会課題の解決に挑戦している。
同社はクラフトビール醸造所と連携し、廃棄物を資源としてアップサイクルする取り組みを開始。第1弾として、チョコレートの製造過程で廃棄されるカカオ豆の外皮「カカオハスク」を活用したクラフトビールなどを販売する「CACAOMOIプロジェクト」を実施した。
カカオ豆を覆う薄い外皮のカカオハスクは口当たりが悪くなるため、チョコレートの製造過程において取り除かれ、大半のカカオハスクは産業廃棄物として焼却処理されることが多い。(※下記画像の奥が焙煎したカカオ豆で、手前が皮の部分のカカオハスク)
「CACAOMOIプロジェクト」は、カカオハスクを原料にしたクラフトビールやリユースカップを開発し、廃棄物の削減に取り組み未利用資源を活用するプロジェクト。
アサヒユウアスがプロジェクトオーナーとなり、チョコレートを製造する「チョコレートデザイン」や、クラフトビール醸造所8社と協力し、各醸造所が製造したオリジナルのクラフトビール「CACAOMOIクラフトビール」と、アサヒユウアスが開発したリユースカップ「CACAOMOIタンブラー」を数量限定で販売する。現在、同社のEC サイト「アサヒユウアス SUSTAINABLE CRAFT ONLINE SHOP」にて予約受付中。
「カカオハスクはあまり利用方法がなく大半が廃棄されていますが、カカオハスクはとても香りの良い素材。この香りの良さに着目しまして、捨てるにはもったいないと、8社のクラフトブルワリーのみなさまと共創して、価値のあるものに転換するアップサイクルビールを作ることになりました。
弊社がSDGsプロデューサーとして参画している『つくばクラフトビアフェスト2023』で、今回参加いただいた本庄銀座ブルワリーの中田さんと意気投合したことが、CACAOMOIプロジェクトを立ち上げたきっかけです。
また、チョコレートデザインさんと取り組んで『カカオハスクの森のタンブラー』を先行して発売していた経緯もあり、タンブラーだけではなくて、カカオハスクをもっと活用していきたいというディスカッションを継続していたことから、カカオハスクを使ったクラフトビールとタンブラーの発売に至りました」(アサヒユウアス たのしさユニット ユニットリーダー 古原徹氏)
カカオハスクを提供したチョコレートデザインは「VANILLABEANS」ブランドで知られる横浜のクラフトチョコレート専門店。実店舗のほかオンラインショップも展開している。同社の経営企画室 マネージャー 鈴木愛氏はこう話す。
「弊社では年間で12トンほどのカカオハスクが出ていますが、今まではうまく活用できておらず廃棄することが多かったのです。カカオハスクを使ったアップサイクルは私たちの方でもいろいろ今試していまして、お菓子の紙パッケージや、カカオハスクを使った染めもののTシャツやランチョマットなど布製品は、比較的作りやすいということがわかりました。
私たちは各国からカカオ豆を取り寄せていますが、今回提供したのはガーナ産カカオ豆のカカオハスク。ガーナのカカオは酸味と苦味のバランスがとても良く弊社でもイチオシです。
カカオ豆は輸入した段階でほぼ乾燥している状態で、それを丸ごと焙煎して、さらに水分を飛ばしているので、取り除いたカカオハスクはフレークのようになります。今回はその状態で各ブルワリーへ提供いたしました。ブルワリーによって様々な使い方があるようですが、カカオハスクは豆と比べて油分が少なく、ビールを作る過程においても比較的扱いやすいとお聞きしました」
(※下記画像左から、アサヒユウアス小原氏、チョコレートデザイン鈴木氏、本庄銀座ブルワリー中田翔氏)