世界90か国に拠点を持つ世界最大規模のマーケティングリサーチ企業であるイプソスは、様々な自主調査を実施している。今回は、その中から世界31か国を対象に実施した「気候変動に関する意識調査 2023」を取り上げたい。
このレポートでは気候変動による影響、気候変動に関する情報提供、気候変動への対応について、グローバルの意識をまとめているので、本稿ではその内容を一部抜粋してお伝えする。
気候変動の潜在的な影響について、政府はどの程度十分に、情報を随時提供していると思いますか?
「気候変動の潜在的な影響について、政府は十分に情報を提供していると思いますか?」という設問に「十分である」と答えた日本人は16%。ペルーと並んで31か国中2番目に低い数字で、世界各国平均(31%)を大きく下回っている。
■自分の住む地域に気候変動がこれまでに与えた影響はどの程度深刻か
「自分の住む地域に気候変動がこれまでに与えた影響はどの程度深刻か」という設問に、「深刻である」と答えた日本人は66%。日本国民の約7割が、気候変動の影響について深刻に捉えている。
これは31か国中9番目に高い数字で、世界各国平均(57%)を上回っている。
■政府は気候変動対策にどの程度精力的に取り組んでいると思いますか?
「政府は気候変動対策にどの程度精力的に取り組んでいると思いますか?」という設問に、「非常に精力的」「かなり精力的」と答えた日本人は、19%。31か国中3番目に低い数字で、世界各国平均(36%)を大きく下回っている。
■国民は気候変動対策にどの程度精力的に貢献していると思いますか?
国民は気候変動対策にどの程度精力的に貢献していると思いますか?」という設問に、「非常に精力的」「かなり精力的」と答えた日本人は、17%。31か国中3番目に低い数字で、世界各国平均(34%)の1/2となった。
今回の調査結果について、イプソス株式会社代表取締役社長の内田俊一氏は以下のように述べている。
「日本は気候変動に関する意識や危機感は決して低くないものの、政府や国民の実際の取り組みが追いついていない事が明らかになりました。政府からの情報発信が十分でないために、具体的な行動に落とし込めずにいる可能性があります。
昨年11月30日から開催されたCOP28では、世界全体の排出削減の進捗状況を点検する手続き『グローバル・ストックテイク』が初めて実施されました。
日本も政府主導の、積極的な気候変動対策、情報提供活動(啓蒙)によって、より一層国際社会と連携していくことが求められるでしょう」
調査概要
調査方法/イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
調査対象/世界31か国の2万4220人 内訳・インドの18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の国の16~74歳の成人
実施日/2023年9月22日~10月6日
調査機関/イプソス
構成/清水眞希