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規格外の焼き芋が「パンク焼き芋」としておいしく生まれ変わった舞台裏

2024.01.30

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

Upcycle by Oisixとカルビーかいつかスイートポテト社が初コラボ

食品宅配サービス「Oisix」などを展開する「オイシックス・ラ・大地」(以下、オイシックス)では、フードロス削減事業のひとつとして、アップサイクル商品を開発・販売するブランド「Upcycle by Oisix」を2021年に立ち上げ、アップサイクルに積極的に取り組んでいる。

製造工程で未活用だった食材を新しい商品としてアップグレードするアップサイクル商品は96点にのぼり、チョーヤ梅酒やPRONTOといった企業コラボした商品も展開。昨年12月には、畑や加工現場で未活用だった食材約102tをアップサイクルしてフードロス削減に寄与した。

今回は「カルビーかいつかスイートポテト」 (以下、カルビーかいつか)と初のコラボを行い、同社から規格外の焼き芋を買取り、Upcycle by Oisixがアップサイクルした「パンク焼き芋」シリーズを開発。1月25日より順次販売開始する。

カルビーかいつかは1967年に創業。さつまいも専門の卸売問屋として国内最大級のさつまいもの取り扱いがある。現在は卸事業のほか、小売店の店舗に焼き器を貸し出す焼き芋事業、直営店舗「蔵出し焼き芋かいつか」、通信販売事業を展開している。

同社が扱うさつまいもは茨城県を中心に、契約生産者から全量を買い受けているが、農作物ゆえに大きさや形など規格外のものもある。また、焼き芋の製造過程でも、はじけてしまったり、折れや皮むけで形が崩れ、商品として提供できないものも発生する。

「おおよそ年間で8%程度の規格外の焼き芋が出ますが、廃棄は行っておらず、焼き芋パウダーやペーストといった加工等に1割程度、牧場などで循環活用いただく飼料・肥料に9割方転換しています。できる限りで活動を行っていますが、全量が活用できていないというのが現実であり、課題として感じていました。

SDGsの観点からもさつまいもの全量活用を検討している中で、昨年8月にアップサイクル商品などを手掛けているオイシックス社に相談し、当社の規格外焼き芋の活用への取り組みの提案をいたしました。オイシックスとの取り組みによってさらに加工品の活用を7割程度まで上げていきたいと思っています」(カルビーかいつかスイートポテト 代表取締役社長 安藤國行氏)

アップサイクル商品化の難しい点として、オイシックス・ラ・大地 執行役員 グリーン戦略室室長の東海林園子氏は「流通と加工をつなぐ架け橋となる」ことを挙げた。

「アップサイクル原材料は、食品として流通していない理由があります。価値に変換してどう良さを引き出すか、どのような加工をしたら商品がマッチングするのか、流通と加工をつなぐ架け橋であることが一番のカギであり、難しい場合も多くあります。

原材料が生まれる場所と加工する場所があまりにも遠く離れてしまいますと、そこで流通面の環境負荷が出てしまうので、できるだけ出ないように物流を工夫するという点でも苦労しています。

規格外商品は原料の供給量が一定していませんが、あくまでも我々はフードロスを解決するための商品を開発して販売しているので、原料がなくなったとき=よいことであり、お客様のおかげでフードロスが解決できたと捉えています。そのために無理に原料を調達することがないように心がけています」(東海林氏)

焼き芋本来の甘みや香りを活かした4商品をリリース

規格外焼き芋を使った今回のアップサイクルは「パンク焼き芋」シリーズと題し、Oisixの主力商品であるミールキットを2種類、単品でも楽しめる加工品を2種の4商品。

「カルビーかいつか社から相談を受けて、私も規格外の焼き芋を食べてみました。とても甘くおいしいですし、少しはじけて焼けた焼き芋は香ばしさもほんのり感じられました。今回はシリーズの総称として、規格外の食材に親近感や興味を持っていただきたいということ、食べるとおいしくてはじけちゃう!という複合的な意味も込めて、『パンク焼き芋』と名付けました」(Upcycle by Oisix ブランドマネージャー 三輪千晴氏)

〇Kit Oisix「パンク焼き芋の塩バターフレンチトースト」(1566円)

規格外の「パンク焼き芋」をトッピングしたフレンチトースト。焼き芋のしっとりとした甘さや香ばしさに、塩バターでこんがり焼いたスライスアーモンドをトッピングすることで、ほんのり塩味と香ばしさが加わり絶妙なバランスに。好みでアイスクリームや生クリームをトッピングしてホットドリンクを合わせれば、冬の休日ブランチにもぴったりなメニューに。Oisix会員以外でも購入できる「おためしセット」もあり。

販売期間は2024年1月25日~2月1日10:00まで。食品ロス削減量(食品として活用される量を換算、以下同)1袋(2人前)あたり約150g。

〇Kit Oisix「パンク焼き芋とれんこんのグリルサラダ」(1393円)

「パンク焼き芋」とグリルしたれんこんを合わせたグリルサラダ。しっとりとした食感の焼き芋とセロリをカレー味のマヨネーズで和え、シャキシャキの水菜の上にたっぷりとトッピング。カリっと焼いた塩こうじベーコンの塩味と焼き芋の甘さが楽しめ、カレースパイスをマヨネーズと和えたカレーマヨの味付けで、さらに香りも楽しめる。ボリューム感があるので、魚や肉のメインと合わせれば満足感のある食卓に。

販売期間は2024年2月1日~2月8日10:00まで。食品ロス削減量1袋(2人前)あたり約150g。

〇はじけちゃうおいしさ!パンク焼き芋パン(408円)

「パンク焼き芋」の甘さと香ばしさを皮ごと詰め込んだ、シンプルな原料の焼き芋あんぱん。焼き芋の味そのままを楽しんでもらえるように、あんにパンク焼き芋以外の原料は一切使わず、食感がなめらかになるようにミキシング。焼き芋の香ばしさや見た目もイメージできるようにあえて皮も残している。

パン生地は、焼き芋の味を引き立たせるようにバランスよく仕上げたOisixオリジナルの配合。2つで480円と手軽な価格なので、朝食や小腹が空いたとき、おやつなどに気軽に楽しめる。

販売期間は2024年1月25日~。食品ロス削減量1袋(2個入り)あたり約57g。

〇はじけちゃうおいしさ!パンク焼き芋バター(842円)

「パンク焼き芋」を、北海道産有塩バターとはちみつと合わせて濃厚に仕上げた焼き芋バター。マーガリンや甘味料、香料などは使わず、厳選した素材のみを使用。焼きたてのパンにのせて食べるとバターが溶けて、焼き芋の香り、ほくほくした食感といった、カルビーかいつかこだわりの焼き芋が楽しめる一品。

販売期間 2024年1月25日~。食品ロス削減量1瓶(60g)あたり約36g

【AJの読み】生芋のアップサイクル商品もぜひ作ってほしい

カルビーかいつかの焼き芋は、糖度が高くとろけるような濃い甘みが特徴。良い素材を育むため、契約生産者と一緒に、土作りや肥料の剪定、苗作りなど栽培方法からこだわっている。収穫されたさつまいもは、温度管理が調整された貯蔵庫で、おいしさを増すために寝かせて熟成。原料を選別した後、オリジナルのオーブンでゆっくりと丁寧に焼き上げる。皮がパリッとしていて、皮と実の間には飴色の蜜が生まれ、時間をじっくりかけて冷ますことで、おいしさがさらに際立つ。

規格外とはいえ、味や風味はまったく変わらないので、ミールキットのサラダやパンケーキは、本来の焼き芋のおいしさがそのまま楽しめる。ただ、焼き芋なのであまりに大きいとゴロゴロとした存在感が他の食材を邪魔することもあるため、特にサラダはもう少し小さく切って和えた方が食べやすいと感じた。

今回は焼き芋の規格外品の商品化だが、カルビーかいつかは生芋の販売が事業のメインあり、今後は生芋の規格外品の開発も可能であればオイシックスと共に進めていきたいと安藤社長は話す。

さつまいも料理の中でも、特に甘みやねっとり感が際立つのが焼き芋。焼き芋好きの人は多いが、逆に筆者のように焼き芋の甘さや食感、口の中が乾く、のどに詰まるような感覚が苦手という人もいる。安藤社長が期待していたような規格外の生芋を使った、おかずとして甘さを前に出さないようなレシピのアップサイクル商品の開発にも期待したい。

文/阿部純子

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