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ビジネスメールの文末に「取り急ぎ」という言葉を加えるのは、失礼にあたるのではないかと気になったことはありませんか。「取り急ぎご報告まで」と伝えたままにしておくのは、適切ではありません。「取り急ぎ」の意味や注意するポイント、言い換え表現をご紹介します。
「取り急ぎ」の意味とは
取り急ぎは、「いそぎ」を強めていう言葉で、「とりあえず急いで」という意味で使われます。
「とりあえず」という言葉は、本格的な対応は後回しにして、今できる緊急対応を最優先させるさまを想起させます。つまり、「急いでいるから本格的な対応は後でするけれど、今はとりあえずこの対応をしておきますね」というニュアンスを伝えます。
とくに緊急性の高い場面における、ビジネスメールの文面で使われることが多いでしょう。
参考:デジタル大辞泉
■もともとは手紙でのやり取りで使われていた
取り急ぎという言葉は、もともとは手紙でのやり取りで使われていました。手紙はメールと違い、相手に届くまで一定の時間を要します。そのため、「ひとまず連絡しておきます」という意味で使われていました。詳しい内容は、後から出す次の手紙で伝えることが一般的であったためです。
しかし、メールであれば届くのに時間はかかりません。そのため、緊急の要件でもないのに取り急ぎという言葉を使うことに、違和感を覚える人もいます。何も考えず、メールを締める定型文のように使うのは避けるのが賢明です。
■目上の方に使うと失礼になるケースも
取り急ぎという言葉を目上の人に使ったとしても、失礼だと捉えない人もいるでしょう。
しかし、できる限り使用しないほうが無難です。取り急ぎは、「今は時間がないので詳細の説明ができない、そのためひとまず一報する」という意味です。相手が目上の立場であるのに、「今は忙しいから時間を割けない」と伝えていることになるため、たとえ後日改めて丁寧な連絡をした場合でも、失礼だと受け取られてしまうリスクがあります。
「取り急ぎ」をビジネスメールで使う主な場面
取り急ぎは、現状では詳しい内容は決まっていないものの、まずは概要を伝えなければならない時に使う言葉です。ビジネスでは「報・連・相(ほうれんそう)」が重んじられ、報告や連絡の徹底が重視されます。ここからは、ビジネスメールで「取り急ぎ」という言葉を使う場面をご紹介します。
■報告する時
仕事の進捗は、基本的にその都度上司への報告が求められるでしょう。進捗報告がないと、上司は「計画通りに進んでいるのか」と不安になる可能性があります。緊急を要する予定があり、詳しく報告できないような場面でも、ひとまず情報を伝えることが基本です。
「〇〇プロジェクトについて、取り急ぎ下記のとおり報告いたします」というように使います。取り急ぎの報告で終わらせず、後ほど詳しく報告する旨を伝えることが大切です。
■連絡する時
会議や商談の日程が変更になった時は、早めに連絡する必要があります。代替日が決まっていないなど、詳細事項が決まっていない状況でも、取り急ぎ連絡することが重要です。
「明日11時開催予定の社内会議の延期が決定しました。取り急ぎ、ご連絡させていただきます。代わりの日程が決まり次第、改めてご連絡いたします」などと使います。
「取り急ぎ」をビジネスメールで使う際の注意点
ひとまず連絡や報告をする際に使いやすい、取り急ぎという言葉ですが、使用にあたっては、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。主な注意点は以下の4つです。
- 後日改めて丁寧な連絡をするのがマナー
- 報告・連絡事項の発生後すぐのメールで使う
- お礼やお詫びには極力使わない
- 「取り急ぎご報告まで」などと省略しない
それぞれの内容を解説します。
■後日改めて丁寧な連絡をするのがマナー
ビジネスメールで、取り急ぎ連絡や報告をする際は、後日改めて丁寧な連絡を入れるのがマナーです。そのまま放置してしまうと、相手を待たせたままになってしまいます。そのため、後で連絡をする予定がある時にのみ、「取り急ぎ」を使いましょう。
■報告・連絡事項の発生後すぐのメールで使う
報告・連絡事項が発生してから何日も経っているのに、取り急ぎの言葉を使うのは適切ではありません。取り急ぎは本来、急いで伝える必要のある内容を、とりあえず伝えなければいけない時に使う言葉です。そのため、日数が経っている緊急性の低い用件に使うのは避けてください。
■お礼やお詫びには極力使わない
取り急ぎという言葉は、お礼やお詫びには極力使わないように注意しましょう。少しでも早く感謝やお詫びの気持ちを伝えようと、取り急ぎという言葉を使っている場合でも、とりあえずの感謝、あるいは謝罪と捉えられる可能性があります。
時間が限られている中で感謝を伝える時は、「とりあえず」というニュアンスがなくなるように、取り急ぎを「まずは」と言い換えるとよいでしょう。
■「取り急ぎご報告まで」などと省略しない
文末に「取り急ぎご連絡まで」とだけ記載しているビジネスメールは、丁寧さに欠ける印象を与えかねません。「取り急ぎご報告のみで失礼いたします」のように、続きの文章を省略せずに最後まで書くように意識しましょう。