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何かを依頼する時に使う「お忙しいところ恐縮ですが」というフレーズを、正しく使えているか不安な方もいるかもしれません。相手を気遣うフレーズのため、この後に本題をまとまりなく話すことは避けた方がいいでしょう。このように、相手に失礼なく使うには工夫が必要な言葉です。
今回は、普段何気なく使っている「お忙しい所恐縮ですが」の意味や例文、使う際の注意点をご紹介します。
「お忙しいところ恐縮ですが」の意味とポイント
「お忙しいところ恐縮ですが」は、相手が忙しい状況であることを理解しつつも、何かしらのお願いごとをしなければいけないことを、申し訳なく思う気持ちを表す表現です。
この表現を加えると、相手に感謝やねぎらいの気持ちを届けたうえで、謙虚な姿勢でお願いしていることを伝えられます。
■気遣いを表すクッション言葉として使える
「お忙しいところ恐縮ですが」という表現は、気遣いを表すクッション言葉として使えます。クッション言葉とは、本題に入る前の短いフレーズのことです。相手の気持ちや関心をひきつけ、話を全体的にソフトな印象に変えてくれます。
その結果、相手が頼みごとを快諾してくれやすくなる効果を見込めます。相手が対処をするのに時間や手間がかかりそうな場合、「お忙しいところ恐縮ですが」というクッション言葉で前置きすることが望ましいでしょう。
■社交辞令としても使いやすい
「お忙しいところ恐縮ですが」は、社交辞令としても使いやすい点が特徴です。相手が実際に忙しいか否かに関係なく使えるため、謙遜表現の1つとして使えて便利な言葉です。
社交辞令として、「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きすると、円滑な会話になるでしょう。
■目上の方に使っても失礼にならない
「お忙しいところ恐縮ですが」という表現は、謙虚な気持ちを伝えられるため、目上の方に使っても失礼になりません。上司や取引先に対して頼みごとをする際、「申し訳ない」という気持ちになりやすいですが、クッション言葉である「お忙しいところ恐縮ですが」を添えるだけで、失礼な印象を与えずに依頼ができます。
「お忙しいところ恐縮ですが」の使い方と例文
ここからは、「お忙しいところ恐縮ですが」の使い方と例文をご紹介します。実際に使う際の参考にしてください。
■依頼メールの締めのフレーズとして使う
「お忙しいところ恐縮ですが」は、依頼メールの締めのフレーズとして使えます。たとえば、一通のメールに複数の依頼内容が含まれている場合、それぞれの依頼の後に「お忙しいところ恐縮ですが」と記載すると、しつこい印象になりかねません。しかし、メールの最後に加えれば、すっきりした印象になるだけでなく丁寧な印象になるでしょう。
【例文】
- お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします
- お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします
■口頭で相手に頼みごとをする時に使う
「お忙しいところ恐縮ですが」は、口頭で相手に頼みごとをする時にも、角が立たないように使われる言葉です。自社の製品やサービスを営業する際は、相手に時間を割いてもらうことへの気遣いを込めて、「お忙しいところ恐縮ですが」を活用すると、ビジネスを円滑に進められるでしょう。
【例文】
- お忙しいところ恐縮ですが、打ち合わせは15時からでお願いいたします
- お忙しいところ恐縮ですが、弊社商品の取り扱いについてご検討のほどよろしくお願いいたします
■電話で折り返しを依頼する時に使う
電話で折り返しを依頼する際にも、「お忙しいところ恐縮ですが」という表現は頻繁に使われます。「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きすることで、多忙な相手に配慮している印象を与えるため、スムーズに対応してもらいやすくなるでしょう。
【例文】
- お忙しいところ大変恐縮ですが、〇〇様に折り返しのご連絡をいただけるようにお伝え願えますでしょうか
「お忙しいところ恐縮ですが」を使う際の注意点
「お忙しいところ恐縮ですが」は、目上の方に対しても気遣いを表すクッション言葉として使える便利な言葉ですが、使用する際にはいくつかの点に注意しましょう。「お忙しいところ恐縮ですが」を使う際の注意点は、主に以下の4つです。
- 意図を簡潔に伝える
- メールの文中で何度も使わない
- 冠婚葬祭では使わないのが無難
- 忙しくない相手に使うと嫌味になりかねない
それぞれの内容を解説します。
■意図を簡潔に伝える
「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きをした後は、すぐに伝えたい内容の要点に触れましょう。
「お忙しいところ恐縮ですが」は、基本的には、相手が忙しいことを前提としたフレーズです。「お忙しいところ恐縮ですが」という言葉で相手への配慮を表しているのにもかかわらず、その後に脈絡のない話を延々としてしまうと、矛盾した行動と受け取られてしまう可能性があります。伝えたい意図を簡潔にまとめて話すように意識すると、相手に余計な時間を使わせずに済むでしょう。
■メールの文中で何度も使わない
「お忙しいところ恐縮ですが」という表現を、メールの文中で何度も使わないようにすることも大切です。一通のメールでいくつかの依頼をする際、その都度「お忙しいところ恐縮ですが」を添えてしまうと、しつこい印象になりかねません。メールの最後に一度だけ、「お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。」と記載し、締めの言葉にすることをおすすめします。
■冠婚葬祭では使わないのが無難
「お忙しいところ恐縮ですが」という言葉には「忙」という字が使われているため、冠婚葬祭では使わないのが無難です。「忙」という字は「心を亡くす」と書くため、人によっては縁起が悪いと捉えることがあるためです。「ご多用のところ恐縮ですが」などと言い換え、対応しましょう。
■忙しくない相手に使うと嫌味になりかねない
「お忙しいところ恐縮ですが」は社交辞令としても多用されるため、相手が多忙かどうかは気にせず使えることがほとんどです。しかし、相手が時間を持て余していることに引け目を感じているような場合に使用すると、嫌味だと受け取られてしまう可能性があります。相手の状況を見極めて、適切な表現を使うことが大切です。