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「真摯に向き合う」という表現を耳にしたことはありませんか。
ビジネスや日常生活、恋愛などのさまざまなシーンで、「真摯に向き合う」という表現が使われます。頻繁に使われるものの、「目上の人に使って良いのだろうか?」「不適切な場面はないのだろうか?」と疑問に感じるかもしれません。
「真摯に向き合う」の正しい意味や使い方、言い換え表現を紹介するので、ぜひ正しいシチュエーションで使ってみてください。
「真摯に向き合う」の意味は?
「真摯(しんし)に向き合う」とは、「相手の立場に立ってまじめに話を聞くこと」や「熱心に取り組むこと」を意味する表現です。日常生活でも使われることが多いため、意味を正確に理解しておきましょう。
そもそも「真摯」とはまじめで熱心なことを意味する名詞です。「真摯に取り組む」以外にも、「真摯な態度」や「真摯に対応する」のような表現でも使うことができます。
また、「向き合う」とは、互いに正面を見て対すること。たとえば、「環境問題に向き合う」なら、環境問題に対して正面から取り組むことを指します。
参考:デジタル大辞泉
「真摯に向き合う」の使い方
■ビジネスシーンで使われることが多い表現
「真摯に向き合う」は日常生活でも使う表現ですが、家族や友人などの親しい間柄というよりは、ビジネスシーンや所信表明などのかしこまった場で使う傾向にあります。いくつか例を挙げて使い方を見ていきましょう。
【例文】
・問題解決のために、真摯に向き合っていきたいと思います。
・顧客満足度向上のために、顧客ニーズの理解に真摯に向き合ってきました。
■目上の人に使っても失礼ではない
「真摯に向き合う」は、まじめに取り組むことを意味する表現のため、目上の人に使っても失礼には当たりません。
【例文】
・ご指導ありがとうございます。真摯に向き合って、改善に努めていきます。
・真摯に向き合ってくださったことで、素晴らしいプロジェクトになりました。
また、「真摯に向き合う」は、目下の人にも使える表現です。部下や後輩と話す時にも、使ってみてはいかがでしょうか。
【例文】
・取引先から厳しいご意見をいただいていますが、真摯に向き合っていきましょう。
・皆が真摯に向き合ってくれたことが、プロジェクト成功の要因だと思います。
■「真摯に向き合う」が使えるシーン
「真摯に向き合う」は、さまざまなシーンで使える表現です。たとえば、決意や意気込みを伝えるときに使うことがあります。
【例文】
・事態を改善するために、問題の根本に真摯に向き合うことが必要です。
・子どもの権利を守るという命題を掲げ、真摯に向き合ってまいります。
また、反省や謝罪を表現する時にも「真摯に向き合う」を使います。
・同じ過ちを繰り返さないためにも、反省点を明確にし、真摯に向き合う必要がある。
・大変ご迷惑をおかけしました。このようなことが二度と起こらないよう、真摯に向き合っていく所存です。
簡単にいえば「頑張ります」とほぼ同じ意味ですが、「真摯に向き合う」と表現することで、改まったニュアンスを表現できます。
「真摯に向き合う」の言い換え表現をご紹介
「真摯に向き合う」は次の表現と言い換えられることがあります。
・真摯に受け止める
・まじめに取り組む
・誠実に向き合う
・ひたむきに取り組む
それぞれの使い方を見ていきましょう。
■真摯に受け止める
物事に「向き合う」前に「受け止める」必要があります。問題を解決する前の事実を把握する段階において、「真摯に受け止める」と表現してみてはいかがでしょうか。
・ご指導ありがとうございます。お言葉を真摯に受け止めます。
・真摯に受け止めるだけでは、問題解決になりません。
■まじめに取り組む
真摯は「まじめ」という意味があります。堅苦しい印象がないため、家族や友人との間でも使える言葉です。
・もう少しまじめに取り組んでよ。
・ふざけないでまじめに取り組んでください。
■誠実に向き合う
「誠実」とは、私利私欲をまじえず、真心を持って人や物事に対することや、その様子のことです。真剣に向き合うことを表現する時に使えます。
・問題に誠実に向き合ってきた。
・誠実に向き合っていれば、今回のようなトラブルは回避できたはずだ。
参考:デジタル大辞泉
■ひたむきに取り組む
「ひたむき」とは、一つの物事だけに心を向けている様子です。真摯と同じく、真剣に向き合っている状態を示せます。
・ひたむきに取り組んだことが、今回の成功につながった。
・脇目もふらず、ひたむきに取り組んできました。
参考:デジタル大辞泉
「真摯に向き合う」に類似する四字熟語
「真摯に向き合う」と類似した意味で使われる四字熟語としては、次のものが挙げられます。
・一意専心(いちいせんしん)
・謹厳実直(きんげんじっちょく)
・言行一致(げんこういっち)
一意専心とは、脇目もふらず心を一つのことだけに注ぐことです。「一意専心、受験勉強に取り組んだ」のように、副詞的に使います。
謹厳実直とは、慎み深く、まじめで正直であることやその様子を表す言葉です。「謹厳実直な仕事ぶりが好ましい」のように使います。
言行一致とは、口でいうことと行動とに矛盾がないことや、主張しているとおりに行動することです。「彼は常に言行一致だ」「言行一致の人なら信用できるだろう」のように誉め言葉として使います。
参考:デジタル大辞泉