温かいスープが一段と美味しくなる季節。日本スープ協会が12月22日(いつもフーフー)の「スープの日」にちなんで、毎年開催しているセミナーが昨年12月にも開催された。
今回はスープを中心とした料理の美味しさを引き出すコツとレシピが専門家によって紹介された。そのうち、知っていると何かと使えるワザをピックアップして紹介する。またスープ作家直伝の、市販のスープ商品で手軽に作ることができるスープレシピもあわせて見ていこう。
スープに使う具材をよりうま味をアップさせるワザ
セミナー前半では、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士 田端稔氏による講演が行われた。食材の特性を活かす方程式に基づいて調理することで美味しさを引き出せる上に、簡単に実践できる調理法が紹介された。そのうち、次のワザはぜひ覚えておきたい。
●きのこ類とあさりは冷凍するとうま味が増す
田端氏によれば、きのこは種類に関係なく、冷凍すると細胞内の水分が凍って体積が膨張し、細胞膜が破れて細胞が壊れるという。これにより、生の状態よりもうま味成分がアップするそうだ。
しめじやえのきだけ、しいたけ、マッシュルームなどはスープの具材としても定番。これらのきのこ類は冷凍しておいたものを利用するのがおすすめだという。解凍するとドリップと一緒にうま味も抜け出してしまうので、解凍せずにそのまま使うのもポイントだ。
またあさりも同様に冷凍保存でうま味が引き出されるという。あさりにはうま味エキスのグルタミン酸とコハク酸が含まれるが、生の状態ではうま味が細胞に閉じ込められてしまうため、冷凍して細胞が壊れた状態にしてから調理に使うと、うま味が外に出やすくなるという。
うま味エキスを最大限に引き出すには、殻付きで冷凍し、調理に使うときには凍ったまま使うことがポイントだ。
あさりには積極的に摂りたい栄養素も含まれる。同院 同部 部長の管理栄養士 濱裕宣氏によると、あさりにはタウリンという栄養素が多く含まれるが、免疫力アップにおすすめだという。タウリンはあさり以外にも魚介類全般にも多く含まれるため、意識してスープに入れたい。そしてあさりをはじめとした魚介類全般に多く含まれる亜鉛にも注目。粘膜を強くし、ウイルスの侵入予防にもつながるという。
●じゃがいもは煮崩れさせずに美味しさをキープ
じゃがいもをスープに入れた際に煮崩れがちで美味しさが損なわれてしまう。煮崩れさせないことも美味しさを保つコツといえる。田端氏はじゃがいもを煮崩れさせない方法を2つ挙げる。
1.皮付きのままで水から中火でゆでる
じゃがいもは水からゆでるのがポイント。お湯からゆでると中心部と外側の温度差が大きくなり、火の通りが不均一になってしまうからだ。水からゆでていき160°Cになったら火を止め、3分後、中火で徐々に沸騰させてやわらかくするのがコツだ。
2.バターで炒める
じゃがいもはバターで炒めると、じゃがいもに含まれるペクチンの働きが強化され、粘度が高まることで煮崩れを防ぐことができるそうだ。