DIME MAGAZINE
現役高校生の会話×3万曲の歌詞から誕生した“恋の味”
一体、どんな風にして「恋愛感情」を味で表現したのかというと、それを実現したのはNECが誇る最先端AI技術群「NEC the WISE」。
これまでNECは野菜嫌いの子供のために、苦手な野菜と相性の良い食材の組み合わせをAIで導き出し、「AI(愛)のプリン」を作るなどAI技術を用いて数々の商品を手掛けてきた。
今回もその最先端技術が本領を発揮。
まずは音声認識技術で、Abema TVの「今日、好きになりました。」から出演者の会話データ15時間分をテキストとして抽出。
そもそもこの番組は、初対面の現役高校生による「運命の恋と青春の修学旅行」をテーマにした恋愛リアリティ番組。Z世代の若者から最も支持を集める人気コンテンツには今時の恋愛での会話、言葉、流行が詰まっている。
そんな若者たちの会話データを、「出会い」「告白」「初めてのデート」といった恋愛シーンごとに32個の感情ワードとの相関を表した感情スコアを付与し、恋愛シーン別に感情の傾向を可視化した。
さらに、約100万曲の日本語の歌詞データベースから183種類のフルーツやスイーツなどの食品を含む約3.5万曲を抽出。
今度はそれらの食品を含む歌詞に感情スコアを付与し、食品のイメージが持つ感情の傾向を可視化。
以上の「恋愛シーンごとの感情」と「食品のイメージが持つ感情」を紐づけ、恋の気持ちに相応しい食品上位50種をリストアップ。その中から木村屋が相性の良い食品の組み合わせを選定して「恋AIパン」を作り上げたという。
恋愛感情を味わえる蒸しパンは普通に美味い！
今回、筆者も5種類の恋AIパンを試食させていただいた。
どれもほのかな甘さと爽やかさがあり、確かに甘酸っぱい気持ちが芽生えてくる。中でも個人的に印象に残ったのは、「初めてのデート味」だ。
見た目の鮮やかなイエローに加え、「ライム」と「柿」の味わいに、ふと若い頃のドキドキを思い出してしまった。それはもしかしたら気のせいかもしれないが、何より美味しかったのは間違いない。普通に美味い。新たな未来への一歩を後押ししてくれると思い、少し嬉しくなった。
新しくて美味しい恋AIパンだが、さらにもう一つ、最先端技術を駆使した仕掛けがある。NEC AI・アナリティクス統括部 シニアディレクターの孝忠大輔氏が明かしてくれた。
「近年、生成AIが注目されていますが、NECが開発したLLM(大規模言語モデル) 『cotomi(コトミ)』を活用し、商品パッケージの紹介文を作りました」
先ほど紹介した5種類の恋AIパンの紹介文をもう一度見返してほしい。あの文章は生成AIによるものだったのだ。
何もかもが今までにない新たな取り組み。ちなみに、恋AIパンを高校生に試食してもらったところ、「小学校の時の好きな子を思い出して温かい気持ちになった」、「恋愛に対して少し臆病になっていたが、また恋愛してみてもいいかなと思った」などの感想が寄せられたという。
NEC 孝忠氏「AIというと仕事奪われるなどネガティブなイメージがありましたが、我々は一人ひとりが幸せになるためにAIを活用していきたいと思っています。今回行った恋愛感情と食品の味のように、一見関連性がないものをAIを使って紐づけた点は、AIの大きな魅力であり、面白い部分だと思っています」
(NEC 孝忠大輔氏)
木村屋も、老舗の新たな挑戦に意欲と自信を見せた。
(木村屋 齊藤浩二氏)
「ここまでカラフルな見た目の商品はこれまで発想もなく、弊社としては初めての試みでした。特に「やきもち味」はパンでの表現としては斬新な色味で他と比べても素材にこだわりを持って開発した商品です。弊社の新しい味を楽しんでいただけたら嬉しく思います」
第1弾となる「涙の失恋」味、「結ばれる両想い」味が2月1日に発売され、第2弾の「やきもち」味は3月1日、そして第3弾の「運命の出会い」味と「初めてのデート」味が4月1日にそれぞれ発売される。価格は200円（税込）で関東近郊のスーパーや木村屋のオンラインショップ、直営店などで販売されるとのこと。ぜひ一度味わって欲しい。
資料・画像提供：NEC
文/太田ポーシャ
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