e-ラーニングに関するサービスの様々なコンテンツを提供するイー・ラーニング研究所では、子どもがいる親を対象に「受験とキャリア教育に関する調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
約3割の親が子どもの中学受験に賛成と回答
「子どもの中学受験についてどう思いますか <SA>」という問について、「受験したほうが良いと思う」(42)と「どちらかというと受験したほうが良いと思う」(72)が合わせて約3割となった。
その理由として、「より良い環境で学んでほしいから」(82)と答えた親が多く、続いて「人生の経験として役に立つと思うから」(62)、「将来のためになるから」(41)と回答。
中学受験を通して学習環境を一新し、子どもの将来やキャリアの可能性を広げてあげたいという親心が推察できる。
一方で、「どちらかというと受験しなくても良いと思う」(121)、「受験しなくても良いと思う」(99)と回答した親は併せて約7割となり、その理由としては、「好きなように時間を使ってほしいから」(140)が圧倒的に多い結果となった。
小学生の時期は勉強だけでなく、興味を育むことや自由な遊びも大切な経験の一つだと考える親が多いことが考えられる。
■中学受験は「子どもが受験を希望するとき」や「進路に必要になったとき」に検討
「どんなときに受験させたいと思いますか<MA>」の問では、「子どもが受験したいと希望したとき」(237)と「子どもが進みたい進路に必要になったとき」(236)が半数近くの回答を集めた。
中学受験は必須ではないからこそ、子どもの意見を尊重する答えが多くなっていると推察できる。
■約8割の親が2025年から大学受験に「情報」が追加されることを知らない
「2025年1月からの大学受験でプログラミングなどの内容が含まれる「情報」の科目が追加されることを知っていますか<SA>」では、「いいえ」(255)が約8割に達した。
また、「「情報」などの新しい科目は小学生の時点から授業科目として必要だと思いますか<SA>」と聞いたところ、9割以上が「はい」(327)と回答。
小学生もタブレットやインターネットを使用した学習が当たり前となり、受験対策のための勉強ではなく、小学生のうちから知識やスキルを身につけることの必要性を感じていることがわかる。
■必要な教育内容として「コミュニケーション」「金融リテラシー」「ディスカッション」が上位に
「『情報』の他に必要だと思う教育内容はどれだと思いますか<MA>」と聞いたところ、1位「コミュニケーション能力」(297)、2位「金融リテラシー」(264)、3位「ディスカッション能力」(226)の順となった。以前、同社で行った「こども家庭庁発足と家庭でのキャリア教育に関する調査」や「2023年:年末年始の学習と過ごし方に関する調査」においても注目が集まっており、今回の調査においても引き続き関心が高いことが判明した。
また、「『情報』など追加で必要になるスキルはどこで学習させたいと思いますか<MA>」では、「学校」(240)が最も多くの回答を集めた。
コロナ禍以降、オンラインや家庭での学習を希望する傾向にあったが、学校で先生や友達との交流を通して、スキルを身につけてほしいと考える親の想いがわかる。
調査概要
調査方法/紙回答
調査地域/全国
調査期間/2023年12月5日(火)~12月26日(火)
調査対象/子どもを持つ親、親族に子どもがいる人、計334人
関連情報
https://e-ll.co.jp/
構成/清水眞希
中学受験に役立つ暗算力とは?小学生が99×99までの2桁かけ算を暗算できるドリルが人気
「VUCA」というビジネス用語がある。変動性、不確実性、複雑性、曖昧性を指す英単語の頭文字をとった造語で、AIなどの社会実装によってビジネス環境が大きく変化していることを示す。この予測困難な社会の到来を見据えて2020年3月、文部科学省は学習指導要領「生きる力」を公示。これを機に、中学受験算数の難化が囁かれるようになった。
中学受験は、受験者数が増加傾向にあるなど、競争激化の渦中にあるもののひとつだ。そして高まる受験熱は、新たなトレンドを生んだ。2ケタ同士のかけ算で使える、暗算ドリルが続々登場しているのだ。そんな数ある暗算ドリルのなかで大きな話題を呼んでいるのが、小学生向けの暗算ドリル『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』(小学館)だ。
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』
岩波邦明・著
定価1200円(税込み)
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』では、この本で初出となる「あゆみ算」を扱っている。
「あゆみ算」とは、最先端のAIを学ぶ現役スタンフォード生でもある岩波邦明医師が独自に考案した画期的な暗算法のこと。
東京大学医学部在学中に開発・出版し、累計発行部数66万部のベストセラーを誇る『岩波メソッド ゴースト暗算』から、およそ12年の歳月を経て開発した最新メソッドだ。
最新メソッド「あゆみ算」では、脳のワーキングメモリに着目している。計算する際に頭の中で扱う数字の数を減らすことで、2ケタ×2ケタの暗算を簡便化。筆算よりも速くかつ正確に2ケタ同士のかけ算が暗算できるだけでなく、「最短の工程で暗算できるから、誰でも簡単にマスターできる」「問題を解くたびに情報処理能力(プログラミング脳)がグングン育つ」など、さまざまなメリットがあるという。
どうして岩波医師は新たな暗算メソッドを開発したのか? そのきっかけは、スタンフォード大の大学院コースで最先端のAIを学ぶ中で「AI開発に数学が不可欠」という確信を得たことにあると話す。
スタンフォード大学で医療用AIの開発に挑む
岩波邦明さん/医師・現役スタンフォード生。1987年生まれ。東京大学医学部卒。在学中に暗算法「岩波メソッド ゴースト暗算」を開発。著書は66万部を超えるベストセラーに。
――岩波先生は現在、スタンフォード大学でAIの勉強をしています。医師でありながらAIを学ぶ理由をお聞かせください。
2022年11月、オープンAI社が生成AIのChatGPTを公開し、世界中に衝撃を与えました。私も衝撃を受けたひとりで、大きな衝撃を受けたと同時に、生成AIの世界に興味が湧いたのです。
翌年2月頃からプログラム言語やAIの勉強を始め、現在はスタンフォード生として大学院コースを受講しています。
――最新のAIについて勉強するなかで、気づきがあったそうですね。
はい。生成AIは100%数学でできていると言っても過言ではない。そんな確信を得ました。高校数学の分野でいうと、微分や確率、ベクトルですね。数学が生成AI開発の根幹部を支えているのです。
「数学を勉強しても将来、何の役にも立たない」という言葉をよく聞きますが、数学は世界の最前線を切り開くために必須な知識だと改めて気づきました。
――「生成AIが数学でできている」とはどういうことでしょうか?
例えば、ChatGPTはどうやって回答を導き出すのでしょうか。
「今日の天気は?」という質問に、天気に対応する言葉群から答えを選んでいると考える人は多いと思いますが、実際は違います。
確かに昔はそのようなプログラムだったこともあります。しかし現在の生成AIは、数式によって確率的に最も正しい〝らしい〞ものを選んでいるのです。
開発のステージでは、この回答の精度を向上させるために、微分を用いて数十億、多いときには数千億ものパラメーターを調整しているのです。この調整によって、いわゆるAIの賢さが決まります。
――数式で導き出すということは生成AIに学習させる段階で、数字で学習させるのでしょうか?
そのとおりです。生成AIのひとつであるChatGPTは〝言語〞ではなく言語を〝数字〞に置き換えてデータを蓄積します。そのおかげで生成AIは、それぞれの言語モデルを習得させる必要がなくなります。ChatGPTが英語だけでなく日本語やほかの言語でも高い性
能を発揮できるのは、それが理由のひとつだと考えられます。
――先生はAIを勉強した先に、どのようなビジョンを思い描いているのでしょうか?
医療用の生成AIを開発したいと思っています。
例えば、医療画像を生成するAIです。X線写真を学習させた画像生成AIがあれば診療、研究、教育など多分野で活用できるようになるでしょう。自閉症の人たちをサポートする対話型AIの開発も考えています。ジョブインタビュー(就職面接)の練習やアドバイスをしてくれるAIがあれば、自閉症の方々の生活を大きく助けることができるでしょうし、そういった医師という仕事に直結する生成AIの開発ができればと、精進しています。(続く)