ハードウェアとソフトウェアのシナジーが新たな時代の潮流に
日本発祥のエッジAI向けファブレス半導体開発・設計を手がけるEdgeCortix (以下エッジコーティックス)が、2024年のエッジ業界におけるトレンド予測を発表した。本稿では、その概要をお伝えする。
1. 次世代の効率的なエッジAIチップが従来のハードウェアの壁を超える
データ処理能力に加え、それを再定義する次世代のエネルギー効率に優れたAIチップの台頭が予測される。
これらのチップは単にパワフルなだけでなく、マルチモーダル生成AIや効率的な言語モデル用にカスタマイズされており、全く新しいアプリケーションのために低消費電力で最先端のAI機能を実現する。
2. ハイブリッド・エッジ-クラウド・アーキテクチャーが台頭、スピードを追求する
エッジ・デバイスとクラウド・リソースをシームレスに統合するハイブリッド・エッジ・クラウド・アーキテクチャが注目されるとみている。
これは単なる効率化ではなく、エッジにおけるマルチモーダルな生成AIや言語モデルの強化にも繋がる。結果、エッジAIアプリケーションは、応答が高速になり、待ち時間も短縮され、かつスケーラビリティが大幅に増すことになる。
3. エッジにおいて、ソフトウェアがハードウェアを凌駕する
多くのテクノロジー開発と長年にわたる企業投資を背景として、エッジは多様で断片的な状況にある。
この特異な状況を統一するのが、ソフトウェアだ。ソフトウェア主導のハードウェア・ソリューションが、既存のハードウェア・システム上でエッジAI機能を実現する鍵になることが予測される。企業は、現在使用しているハードウェアを利用し、新たにエッジAIのメリットを得ることができる。
4. 生成AIの普及でエッジがより活気づく
カスタマー・サービスや職場など、生成AIソリューションの活用はさらに日常化する。それぞれの慣習や好みに合わせた先読みコンテンツでユーザー体験をカスタムメイドし、従業員の効率を高める情報を提供する技術はより進歩することが予測される。
こうした新しいソリューションの導入には、データセンターの電力不足や従来型のハードウェアにも対処しなければならない課題があり、これを解決するべく、ハードウェアとソフトウェアのシナジーが新たな時代の潮流になると予測する。
5. エッジAIが様々なシーンに広がり、ビジネスや生活に変革をもたらす
2023年、AIはあらゆるシーンで活用されるようになったが、2024年もこの流れが続くとみている。
ロボティクス、屋内農業、初等教育、医療開発、セキュリティ、通信、遠隔医療アクセスなど、人類にとって極めて重要な領域に加えて、ファッション、音楽、メディアなど、生成AIがインパクトをもたらす意外な領域でも、革新的なアプリケーションが数多く登場すると予想。
企業、政府、技術者、消費者がAIとエッジAIをクリエイティブに活用して、ビジネスを推進し、生活を向上させることになる。
2024年はエッジにおける生成AIが台頭
エッジコーティックスの創設者兼CEOであるサキャシンガ・ダスグプタ氏は、今回の発表に際して次のように述べている。
「AIは変革のカタリストであり、それこそがエッジコーティックスの原動力です。当社では、お客様やパートナー企業が、現在そして将来にわたって当社のソフトウェアとハードウェアのソリューションを効果的に活用できるよう、環境的にも持続可能なエッジAIソリューションの構築を目指します」
さらにルネサス エレクトロニクスのグローバルビジネス開拓&エコシステム担当ヴァイスプレジデントであるモハメド・ドガー氏は次のように話す。
「AIは、特に多岐にわたるエッジ・エコシステム全体で常に進化しています。これは当社の戦略的な提携先として出資するエッジコーティックスと共通のビジョンです。2024年には、エッジにおける生成AIが台頭することは明らかで、その課題に取り組むためにソフトウェアとハードウェアのシナジーが重要な役割を果たします。引き続き、エッジコーティックスと様々な形で協業できることは光栄です」
関連情報
https://www.edgecortix.com/ja/
構成/清水眞希