過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、今回は仕事に勤しむ若手社員からのお悩みに答えます!
意図せぬ過失への処方箋
30歳の会社員です。先日大きなヘマをしてしまい、上司から大目玉を食らいました。悪気はなく、むしろ喜ばれると思っての行動だったので、自分の人間性が否定された気がして落ち込んでいます。
【結論】失敗の受け止め方に「格」が表われるなぜ注意されたのか真剣に受け止めて
「別に悪く言いたいわけではないのですが……」
えっと……喜ばれると思って選択した行動がかえって相手を怒らせてしまうということは珍しいことじゃないので、本当に悪気がなかったのなら心から同情します。ただし、失敗の内容によっては「そんなの悪意がなくてもあかんやろ」というようなケースも存在しますし、上司からすると大変なことだったのかもしれません。
それを理解したうえで、私はあえて少し厳しめの結論を示しました。
個人的に気になったのは、アナタがまだ上司の叱責に納得を示していないことです。どんなことがあって、具体的にどのような叱責があったのかはわかりませんが、人間性まで否定されたと思ってしまった心理が気になりました。
上司がパワハラ体質とかなら話は別なんですけど、そうではなく、上司として怒らなければならないことがあって叱責したのならば、ひとつの事実に対する上司とアナタの認識の齟齬が解決していないままということになります。
アナタが喜ばれると思ってやったことがどうして怒られてしまったのか。
別に「何か悪いことしたんじゃないの?」と言いたいわけではありません。今のままだとアナタは他人に何で怒られたのか正しく客観的な認識を持てず、被害的な受け止めをするクセがついてしまって前に進めなくなってしまうのではないかという心配をしています。
「俺がおもしろいと思ったのに、受け入れてもらえなかった。人間性が否定された気がした」
これを私の目線で勝手に修正すると次のようになります。
「アナタがおもしろいと思ったことは上司にとっては余計なことだった。自分の行ないを叱責されたアナタは自分の人間性が否定されたと思って落ち込んでいる」
おそらく上司はアナタの人間性まで否定しているつもりはないでしょう(どんな叱責を受けたのか知りませんので予想ですが……)。ただし、アナタは自分の非を納得することができず、受け止めきれなくなった自身への非難を上司から攻撃されたと認知することで何とかモヤモヤする気持ちの落としどころを探っているような感じでしょうか。
このような認知プロセスは別にアナタだけではありません。犯罪の現場でも怒られたことによる逆恨みで相手を殺害してしまう事件なども発生していますし、犯罪に至らなくても叱責されたことで「恥をかかされた」と恨みを抱えて一方的に周囲との関係を断絶してヤケクソ的に暴走してしまう人もいます。
今回の場合、失敗をしてしまったということですよね。人間なら生きている間に失敗しまくります。失敗は成功の母とも言いますが、母となるかババ(ババ抜きのジョーカー)となるかは、受け止めるアナタにかかっています。