■連載/阿部純子のトレンド探検隊
耳をふさがずスマホで声のコミュニケーションができる次世代トランシーバーサービス
デジタルトランスフォーメーション(DX)が各業界で進む中、国内で4000万人以上と推定されるデスクレスワーカーを抱える業界では現場DXの課題が残っている。複数と声でやりとりする宿泊、小売、建設、介護・医療現場などでは、現在もトランシーバーが必須アイテムで、「長時間イヤホンで耳をふさがれ、耳が疲れる」「重いトランシーバーを複数台持つのがつらい」「外音がうるさく聞き取りにくい」といった悩みを抱えている。
NTTの音響技術を活かした音響メーカーとして2021年に設立されたNTTソノリティが、現場コミュニケーションプラットフォームを提供するBONXを関連会社化、NTTソノリティ初のサービス事業となる音声DXサービス「ゼロからはじめるNTTの現場DX」を4月1日より開始する。
「今サービスのポイントは声。デスクレスワーカー業界で起きている音声コミュニケーション上の悩みを、弊社の中核技術である音を閉じ込めるPSZ技術と、音を仕分けるインテリジェントマイクの2つの技術に、BONXの現場コミュニケーションのワンストップソリューション『BONX WORK(ボンクスワーク)』を掛け合わせたサービスです。
耳を長時間イヤホンで塞ぐことによる耳づかれ、重いトランシーバーをたくさん持たなければいけない煩わしさ、騒音化のために大声を張り上げなければいけないという苛立ち、こういったストレスからデスクレスワーカーを解放し、よりミスや無駄のない情報転送をサポートします」(NTTソノリティ 代表取締役 坂井博氏)
BONXの提供するサービスは、専用イヤホンをスマートフォンに接続することで、インターネットを通じクラウド経由で接続。グループトーク、ユニットトーク、プライベートトークといった同期的コミュニケーションはもちろん、チャットや録音、文字起こしも行える。
仕事を始める際にオープンイヤー型の専用イヤホンを装着してタップ、もしくはスマートフォンに入れた専用アプリをタップすれば起動。イヤホンは軽く、装着しても耳をふさがないため、長時間でもストレスフリーに使うことができる。周囲の環境音もしっかり聞こえ、音漏れを抑えるPSZ技術搭載で、客に聞かれたくないスタッフ同士で会話でも安心して行える。(※下記画像は今秋発売予定のマイク付きプッシュトゥトークデバイスも装着)
「現場で働く方々は、1日や1時間ではなく1分や1秒という時間軸の中で生きています。
そこでBONX WORKが作り出すのは、最も直感的で速いインターフェースである、声でチームが常時接続されている世界観です。
BONX WORKを使えば、いつでもどこでも、まるで隣にいるかのように快適な声でのコミュニケーションが可能です。お互いの距離を気にすることなく、良い音質で何人でも双方向に通話することができます。
人の声とそうでないものを瞬時に判別する発話検知の技術が組み込まれており、一部の人とだけ会話がしたいのであれば、プライベートトークをワンタップで始めることもできますし、複数のルームに入って全てに話しかけることもできます。現場ではいつも話せる状態にあるとは限らないため、マネージャーの方にはとても便利な機能といえます。
後で文字起こしをしてキャッチアップすることもできますし、すぐに話せない人にテキストや写真を送ることもでき、音声ボットを活用したシステム連携や音声データ解析も可能です。例えば、BONX WORKとナースコールシステムを連携させれば、どこにいてもボットが、誰がナースコールを使っているか教えてくれます。
店舗、建設現場、介護施設など様々な場所で活用されていますが、ユーザーの方からは、何かを連絡したいときにいちいちスマホを取り出して話していたことも、BONX WORKならハンズフリーでパッと話すことができるので、些細なことでもみんなが発信するようになり、コミュニケーション量が増えたというお声もあります。
BONX WORKを導入することで、生産性・安全性・教育効果・顧客満足度・従業員満足度の向上といった様々なメリットを実感いただいています」(BONX 代表取締役CEO 宮坂貴大氏)
サービス開始に合わせた新製品として、4月にPSZ技術搭載有線耳スピーカー 片耳モデル「BONX intro knot3.5M(マイク搭載)」(価格未定)、今秋にはインテリジェントマイク搭載
「マイク付きプッシュトゥトークデバイス」(仮称・価格未定)を発売する予定。
「声はその人のアイデンティティです。今日は具合が悪そう、何かは困っているんじゃないか、ちょっとした声の変化で働く仲間の体や意識の変化に気づけることが、誰にとっても働きやすい職場のウェルビーイングにつながると信じています。働く人の声をデータとして活用し、企業の業務効率の向上だけではなく、一人一人の従業員の皆さんの豊かな働き方に生かしていく、そんな未来を描いています。見えない心の変化も声で伝える、ずっと隣にいる新しい電話のような存在。そんな新しい音声コミュニケーションの実現に向けてさらなる製品サービスの開発をBONXと共に進めてまいります」(坂井氏)