恵方巻きの起源は謎…商業PRから拡大していった説も
そもそも恵方巻きの風習とは「2月3日の節分に恵方(年神様がいる方角)を向きながら太巻き寿司をまるかぶりすると福が訪れる」というもの。こうして聞くだけでかなり謎な行為だ。
地方や恵方巻きの販売店によってはさらに、「心の中で願い事を唱えながら」「1本食べきるまで会話をしてはいけない」「食べているときは笑顔で」など不思議な決まりごとが追加される。
恵方巻きの明確な起源はわかっていない。明治時代に商人が縁起担ぎのためにはじめたという説や、海苔問屋組合が打ったPRだったという説などがある。大体共通しているのが関西(大阪)発祥の風習らしいということと、1980年代にセブンイレブンが初めて「恵方巻き」という商品名で関西地方以外へ売り出したのが全国へ広まるきっかけだったということだ。
しかし少なくとも10年くらい前の恵方巻きは、今のような一大イベントではなかった。老舗の料亭や寿司屋のネームバリューがついた限定品が登場したり、ロールケーキを恵方巻きに見立てたスイーツが登場しはじめたのはここ数年のことだ。
令和の今では、関東でもこの時期大手スーパーやコンビニでオリジナル恵方巻きを打ち出すのがお決まりになった。
恵方巻きの廃棄は回避できるのか?
恵方巻きの食品ロスが出やすい大きな理由は、どうしたって2月3日に食べるという制約があることだ。小売店としてはできる限り予約販売でロスを減らす対策をとっているが、当日来店したお客さん向けにも在庫を確保しなければならない。一方で、その日を過ぎたら需要が一気に下がり、半額にしても売ることが難しくなるジレンマがある。中身が海鮮など日持ちしにくいといった問題もあるだろう。
売れ残った恵方巻きの廃棄が今より深刻だったのは2018年以前で、2019年の食品ロス削減推進法の施行によってその量はかなり減っているといわれる。しかし上記のような恵方巻きの特徴は変わらないため、完全予約限定品にしない限りロスの回避は難しいように思う。食品ロスは恵方巻きだけに限った話ではなく恵方巻きだけを悪者にはできないのだが、前述のような特性があるためどうしても売れ残り廃棄が出やすい商品なのだ。
自宅で手作りして福を招こう
縁起担ぎの地方行事だったものが全国的なイベントになった恵方巻き。節分の豆まきとあわせて子供と一緒に楽しむご家庭も多いだろう。
2024年の恵方は東北東とのことなので、今年は手作り恵方巻きをかぶりついてはいかがだろうか。年神様に1年の福と健康を願いながら、好きなものだけ包み込んだオリジナル恵方巻きを食べるのも悪くないだろう。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.