バブル崩壊以降、今日までは「変動金利」を選んだ人のほうが、結果的に低金利の恩恵を受けてきた。
その一方で、まもなくマイナス金利が解除され、超低金利時代が終焉を迎えるのではないかとささやかれている。これから住宅ローンを組もうとしている人や既に組んでいる人の中には変動と固定のどちらを選ぶべきか、借り換えをするべきなのか、悩んでいる人も多いのではないだろうか?
こうした中、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」は、5年以内に住宅を購入予定の658人を対象に「住宅ローンに関する意識調査」を実施し、その結果を、LIFULL HOME’S総研チーフアナリストの中山氏による考察と共に発表した。
今後1年間の見通しについて
■不動産価格:過半数が「上昇すると思う」と回答
ウクライナ侵攻や円安などを背景に近年上昇を続けてきた住宅価格だが、今後1年間についても過半数が引き続き「上昇すると思う」と回答した。
「下落すると思う」と回答したのは1割にも満たず、厳しい見方をしている人が多いことが浮き彫りとなった。
■住宅ローン金利:約7割が「上昇」を予測
今後1年間の住宅ローンの見通しについて、最も多かった回答は「ゆるやかに上昇する」(52.4%)で、「何かをきっかけに大きく上昇する」(16.9%)と合わせると69.3%が「上昇」を予測していることが見えた。引き続き、住宅ローン金利の動向には注視が必要だと考えている人が多そうだ。
住宅購入に対する意識
■45%が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」と回答
住宅購入に関しての考えについて聞いたところ、1位が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」(44.7%)、続いて「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」(42.1%)と、住宅ローンに関する選択肢が上位を占めた。
また、3位には「希望に合う物件が出たら買いたい(現状希望に合う物件が出ていない)」(36.0%)が入っており、住宅価格の高騰によって希望条件と価格に折り合いがつきづらくなっている状況がうかがえた。
■世帯年収「1,500万円以上」だと「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」の回答が7割超に
「住宅ローン金利が上がる前に購入したい」と回答した割合を世帯年収ごとに見たところ、400万円未満だと37.3%、400万円以上1,500万円未満は40%台だったのに対し、1,500万円以上だと73.8%にまで増加した。
世帯年収の高い家庭ほど高額な住宅を買う可能性は高く、それが故に住宅ローン金利の少しの変動でさえも大きな影響が出ると感じているのかもしれない。
■93.7%が住宅ローンの支払いに「不安あり」
住宅ローンの支払いについては65.0%が「大いに不安がある」、28.7%が「やや不安がある」と回答し、大多数が多かれ少なかれ不安を抱いていることがわかった。
円安に起因する物価上昇など、日常生活を送る上での不安が大きいことも住宅ローンの支払いに対する不安を煽っていそうだ。