スギ花粉は2月中旬から、ヒノキ花粉は3月中旬から本格的に飛散
スギ花粉が本格的に飛散するのは九州で2月中旬~3月上旬、中国・四国や近畿、東海、関東・山梨は2月中旬~3月中旬の予想だ。北陸・長野や東北南部では2月下旬~3月下旬、東北北部では3月上旬~4月中旬になるとみている。
九州など早い所では3月中旬に入るとスギ花粉の飛散は徐々に収まり、代わって西日本や東日本ではヒノキ花粉の飛散が増えていく。ヒノキ花粉が本格的に飛散するのは九州で3月中旬~4月上旬、中国・四国で3月中旬~4月中旬、近畿から関東・山梨で3月下旬~4月中旬、東北南部は4月上旬~中旬とみている。
ただ、北陸や東北南部ではヒノキの樹木が少ないため、スギ花粉に比べると飛散量が少なくなる見込みだ。
北海道でシラカバ花粉の飛散が本格化するのは4月下旬~5月中旬の予想で、ちょうどゴールデンウィークと重なる可能性がある。
なお、スギ花粉の本格飛散開始は、2月の気象動向に大きく左右され、気温が高い状態が継続すると、飛散開始の直後に本格飛散開始となることがある。最新の情報を確認してほしい。
飛散量:全国的に平年並~平年を上回る予想
花粉飛散量は、平年と比べると、近畿から東北では平年をやや上回るエリアが多く、九州南部と中国・四国では平年並のエリアが多くなる。北海道では平年の約2倍と飛散量が多くなる予想。全国平均では平年比で125%となる予想だ。
2023年と比べると、北日本の一部では2023年を大きく上回るものの、その他のエリアでは広範囲で2023年を下回る予想。2023年の飛散量が記録的に少なかった北海道ではその反動で2023年の約6倍の飛散量になる予想だ。
一方、2023年に飛散量が多かった西日本や関東では飛散量が減少し、2023年の半分程度になる地域もあるとみている。全国平均では2023年比で67%となる予想だ。
なお、今回の発表では環境省によるスギ雄花花芽調査の結果を踏まえて飛散量予想を再検討し、前回発表から一部更新している。
2024年の花粉飛散傾向の予想の根拠
ウェザーニューズでは、前年の夏の天候や年ごとの飛散量の傾向、アプリ「ウェザーニュース」のユーザーと共に行った雄花調査、環境省のスギ雄花花芽調査、冬の天候の実績や予想を総合的に考慮して、2024年の花粉飛散傾向を予想している。2024年の花粉飛散傾向の予想の根拠は以下の通りだ。
(1)前年夏の天候の実績
2023年夏は暖かい空気に覆われた日が多くなったため、気温は北日本や東日本、西日本で平年に比べてかなり高くなった。
東北や東日本では太平洋高気圧の影響で晴れた日が多くなったため、日照時間も平年を大きく上回り、雄花の生長に適した夏となった。一方、前線や台風の影響を受けた九州や四国では日照時間が平年並か平年をやや下回った。
(2)年ごとの飛散量の増減傾向
花粉の飛散量は周期的に増減し、花粉の飛散が多い期間と少ない期間が交互に訪れる傾向がある。飛散量が多い年を「表年」、少ない年を「裏年」と呼ぶ。
エリアによって増減の周期は異なり、「表年」「裏年」も異なる。夏の天候の影響で「表年」「裏年」の区別が不明確になる年もある。
2023年は西日本と東日本を中心に飛散量が多くなった。その反動で2024年の飛散量は前年を下回る「裏年」になると見込んでいる。
一方、北海道や東北北部では2023年の飛散量が前年を下回る地域が多くなったため、2024年は「表年」となり、飛散量が2023年を上回る地域が多くなると予想している。
(3)雄花調査
11月4日~19日にウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられたスギの“雄花リポート”を集計した結果、雄花の付き方について上から2番目に高いランクである「全体に雄花が出来ている」という回答が最も多くなり、最も高いランクである「全体に雄花が出来ており、密度も高い」は最も低いランクの「雄花が観察されない」より3倍近く多くなった。
これらの結果に加えて、12月22日に発表された環境省のスギ雄花花芽調査の結果も踏まえて見解を組み立てている。
(4)冬の天候の実績・予想
2023年12月は寒気と暖気の出入りが顕著となり、気温のアップダウンが大きくなった。ただ、全体的には気温は高い傾向にあり、特に東日本では平年よりも1℃以上高くなる地点が多くなった。
2024年1月もこれまでのところ高温傾向が続いており、2月にかけても気温は平年を上回ると予想している。このため、スギ花粉の飛散開始時期は全国的に平年よりも早くなると予想している。
出典元:株式会社ウェザーニューズ
構成/こじへい