日本人にとってのUberは、専ら「飲食配達サービス」というイメージではないか。
筆者はこんな記事を見たことがある。「ライドシェアとは、要するにUber Eatsのようなもの」と解説する内容の記事だ。
「ようなもの」どころではなく、Uber EatsとはそもそもがUberというライドシェアサービスが始めた事業なのだが、どうも該当記事の筆者はそうした事情に詳しくなかったらしい。
ともかく、Uberとは元々はオンライン配車サービスであり、だからこそ世界中に浸透したのだ。そして実は、日本でも一部の地域で配車サービスとしてのUberが広く利用されている。
京都府京丹後市である。
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Uberを活用した『ささえ合い交通』
プロ野球の野村克也氏は、京都府竹野郡網野町の出身である。ここは平成大合併以降は京都府京丹後市になった。
海に面したこの地域では、Uberを積極的に利用しようという取り組みが何と2016年から実施されている。二種免許(いわゆるタクシー免許)を持たない地元住民が運転する車両を、Uberのアプリで呼び出す『ささえ合い交通』だ。
料金は最初の1.5kmまで480円、そこからは1km毎に120円の加算。一般ドライバーが車両を運転する以上、敢えて悪い表現を使えばこれは「白タク」である。が、同時にこの『ささえ合い交通』は国から認可された事業でもある。
これは道路運送法に基づく「公共交通空白地有償運送制度」にNPO法人『気張る!ふるさと丹後町』が登録し、同法人により運行されている事業。
この制度は交通インフラが不足している地域に限って登録が認められている。従って、Uberのアプリを利用した際のピックアップは京丹後市丹後町の中に限られる。
ただし、ドロップアウトは京丹後市内であればどこでも可能。また、地元住民だけでなく観光客もこれを利用できる。運行時間は午前8時から午後8時だが、年中無休である。
外来のライドシェアサービスと地元住民が共生している例が、既に日本に存在していたのだ。