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ピッツバーグ大学がインフルエンザウイルスを中和する新たな抗体を同定

2024.01.20

インフルエンザウイルスを中和する新たな抗体を同定

手ごわい敵との闘いで新たな武器の入手につながりそうな研究結果がこのほど明らかになった。米ピッツバーグ大学医学部のHolly Simmons氏らは、複数のインフルエンザウイルス株を中和できる可能性のある、これまで見つかっていなかったクラスの抗体を同定したことを発表した。

この抗体は、現在よりも幅広いインフルエンザウイルス株に対して有効なワクチンの開発につながる可能性があるという。研究の詳細は、「PLOS Biology」に2023年12月21日掲載された。

インフルエンザウイルスがヒトに感染する際には、ウイルス表面の糖タンパク質であるヘマグルチニン(HA)が重要な役割を果たす。

インフルエンザワクチンは、免疫システムにHAと結合する抗体を作らせて、HAがヒトの細胞に侵入するのを阻止する。

しかし、抗体が結合するHAの部位は抗体ごとに異なることに加え、ウイルス自体も変化することから、作られた抗体を回避できる新たなウイルス株が生まれる。

インフルエンザワクチンは、毎年、専門家がそのシーズンに流行する可能性のある主な株を予測し、それに基づき製造される。

予測は的中することもあるが、その確率はそれほど高くない。研究グループは、「インフルエンザウイルスの変異に対応するためには、毎年、インフルエンザワクチンを作りかえる必要がある。しかし、われわれの研究から、より広範な防御免疫を誘導するための障壁は驚くほど低い可能性のあることが示唆された」と話している。

現在、さまざまな研究によって、複数のインフルエンザウイルス株に対して予防効果を発揮するワクチンの開発が模索されている。

その多くは、HAの2つの型であるH1とH3の両方に防御効果を発揮する抗体に焦点を当てている。H1とH3にもさまざまな亜型が存在するため、広範に感染を引き起こす。

これに対して、今回の研究は、いくつかのH1株に見られる小さな変化に着目したものだ。

Simmons氏らの説明によると、H1株表面のHAに「133a挿入」と呼ぶアミノ酸の挿入があると、タンパク質の立体構造に変化が生じて抗体が結合できなくなり、中和効果がなくなるのだという。

Simmons氏らは、4人の患者から採取した血液検体を用いて一連の実験を行い、133a挿入の有無にかかわらず、一部のH3株と一部のH1株を中和できる新たなクラスの抗体を同定した。

これらの抗体は、他の抗体とは異なる分子的特徴を持っており、H1株とH3株を異なるメカニズムで交差中和するという。

Simmons氏らは、「今回の研究によって、ウイルスに対するより広範な防御効果を持つワクチンの開発に寄与し得る抗体のリストが増えた」と説明。

また、「インフルエンザワクチンの製造のあり方を変えることを裏付けるエビデンスが増える中、今回の研究結果もその一つとなるものだ」と付け加えている。(HealthDay News 2023年12月29日)

Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.3002415

構成/DIME編集部

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