2023年の夏から秋にかけて、国立科学博物館が行ったクラウドファンディングを覚えているだろうか?
本記事では、話題を呼んだ国立科学博物館のプロジェクトを事例に、クラウドファンディングのリターンの魅力についてご紹介する。
国立科学博物館の挑戦と話題を呼んだリターン
国立科学博物館が呼びかけたクラウドファンディングの当初の目標金額は1億円だった。主な目的は、歴史的に貴重なコレクションの管理や収集を継続するためだ。
「過去最大の挑戦」として記者会見を行った直後にプロジェクトをスタートしたところ、なんと24時間を待たず目標金額をサクッと達成してしまった。その後も支援者を増やし続け、終了までの約3か月で集まった支援総額はおよそ9.2億円。約5.4万人からの支援が集まり、結果的には国内クラウドファンディング史上最高額・最多支援者数(※)を更新した一大プロジェクトとして名を残すことになったのだ。
国立科学博物館のクラウドファンディングが大きな注目を集めた理由はいくつかある。その1つが、魅力的なリターンの数々だ。
クラウドファンディングのリターンとはつまり、支援金のお礼として支援者に返す商品やサービスのことだ。1番人気だったという「かはくオリジナル図鑑」や、「標本のレプリカ」などのレアグッズの他、普段なら見ることができない研究施設を巡る「館長&副館長によるバックヤードツアー」や「哺乳類剥製づくり体験」、法人向けの研究員出張講演権など、リターンには国立科学博物館ならではのラインアップが並んだ。
国立科学博物館のクラウドファンディングは、博物館を応援したいファンだけでなく、科学や生物に関心のある学生や専門家、我が子に面白い体験をさせてあげたいお父さんお母さん世代など、多くの人の心に刺さるような仕掛けがされていたのだ。
※2023年11月5日時点、クラウドファンディングサービス「READYFOR」調べ。国内で運営している購入型・寄付金控除型のクラウドファンディングサービスの実績と比較。