ビール類製造時の副産物である仕込前モルト粉を活用
キリンホールディングスのパッケージイノベーション研究所とファンケルは、環境に配慮した取り組みとして、ビール類製造時の副産物である仕込前モルト粉(以下、モルト粉)を活用したパルプモールド(※)製ボックスを開発した。
※ パルプモールドとは、木質繊維(古紙を含む)を水で溶かし絡み合わせ、乾燥させてできる紙成形品。
スキンケアセットボックス(外装)
このパルプモールド製ボックスを使用したスキンケアセットは、2024年1月18日(木)より8か所の直営店舖(ファンケル 銀座スクエア店、ファンケル 有楽町マルイ店、ファンケル 横浜関内店、ファンケル 浜松メイワン店、ファンケル 京阪モール店、ファンケル 阪急西宮ガーデンズ店、ファンケル アミュプラザ長崎店、ファンケル 札幌三越店)において数量限定で販売される。価格は4200円(税込)。
■共同開発の背景と目的
キリンは、古紙などから紙成型品を作るパルプモールド技術の基礎研究を開始。この技術を用いた容器開発を2022年から行なってきた。
ファンケルも「エコ×地域社会」をテーマに、直営店舗での取り組みを実施している。
両社はともに持続可能な社会を目指し、キリングループ内としてのシナジー創出を進める中で、互いの創業の地である横浜を起点とした取り組みの検討を進め、今回のパルプモールドの化粧品ボックスの制作に至ったという。
今回の取り組みは、キリンビール横浜工場の副産物であるモルト粉を使用し、ファンケルの化粧品ボックスを生み出す共同開発になる。
ビール類の醸造に用いるビール大麦は、搬送中に擦れ、粉状の、いわゆるモルト粉が発生する。
このモルト粉はビール類の原材料としては適さない副産物であり、通常は農場・土壌への散布などにより廃棄をしているが、ビール類の副産物のなかでは水分を含まない繊維質素材であることから、パルプモールドで通常行う脱水処理が不要で加工がしやすいことをキリンが発見。化粧品ボックスとしての加工について検討が開始された。
■開発方法について
本来、パルプモールドを含めた紙は、長い繊維が絡み合うことで機能や強度を保っている。仕込前モルト粉は、繊維が短く、紙に混ぜると強度が低下するリスクがあったが、今回、紙に混ぜても強度が低下しない濃度を研究。必要な強度を保ったパルプモールドの開発に成功した。
■商品概要
エンリッチプラス スキンケアセット
ブライトニング スキンケアセット
ファンケルのスキンケアライン「エンリッチプラス」、「ブライトニング」(共に医薬部外品)の化粧液、乳液の本品に、人気のクレンジングと洗顔料のミニサイズをセットにした数量限定の商品。
大切な人にプレゼントするギフトとしても喜ばれるよう、デザインにもこだわったという。
関連情報
https://www.kirinholdings.com/
構成/清水眞希