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2024年はMVNO躍進の年になる?電気通信事業法改正でスマホ市場はどう変わるのか

2024.01.19

MVNO市場活性化のカギは?

法林氏:まあそれはいいとして。各社にはMVNOとしての工夫をしてほしいというか、特徴を出してほしいですね。個人的にはmineoに期待しています。

房野氏:mineoですか。

法林氏:そうですね。3社プランを早くからやっているし、パケットをシェアする、フリータンクなど、オプションも面白い。そこは評価したい。

石野氏:最大通信速度を1.5Mbpsに絞るかわりに、使い放題にする料金プランもありますしね。料金プランの工夫と割引で、契約者数を増やしています。

房野氏:mienoの契約者数はどれくらいなんですか?

石野氏:100万以上です。

法林氏:でも、200万契約を超えるくらいのMVNOが出てこないと。

石川氏:トップ2社は100万を超えているけれど、ほかはもうひと頑張りですかね。イオンモバイルが50万を超えたくらい。

法林氏:まだまだ少ないよね。MVNOで契約しても安心して使える環境を作らないといけないけれど、監督官庁の人たちは、端末割引のことばかり注目していて、何もしない。

石川氏:本来は、MNOを苦しめて、MVNOを元気にするような施策を打つべきだったのが、なぜかIIJとmineoを電気通信事業法に入れてしまったというのが、そもそもの失敗。本当はこの2社がどんどん強くなれば、状況は変わったはずです。ようやく規制が外れましたが、総務省は何をしていたんだという感じですよね。

石野氏:そうですよね。2019年の電気通信事業法の改正で、IIJ、オプテージ、楽天モバイルの3社に、ドコモ、KDDI、ソフトバンクと同様の規制をかけましたが、今思い出しても、「なぜ?」としか言いようがない。

房野氏:かわいそうでしたよね。

法林氏:市場の動向がわかっていない証拠だよね。総務省は、もっとMVNOを優遇する施策を出さないといけない。下手したら、税金を優遇するくらいにしてもいい。

石野氏:利用者の数の割合が0.7%で規制する根拠は何だという話ですよ。シェアが0.7%の会社が、20%や30%といった巨大企業と、どうやって戦うのか。

法林氏:あと、端末販売方法も見直した方がいいと思う。回線を持っていたり、契約している人なら、「6か月の縛りはあるけれど、iPhoneが半額で買えます」とかやってもいいはず。小手先のルールしか見えていないのがよくない。

房野氏:MVNOが盛り上がると、ユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

石野氏:価格が下がることと、料金プランがシンプルでわかりやすいことでしょうかね。大手のキャリア同士で競争はしているけれど、料金プランが似通っていたりするので、あまりユーザーは乗り換えません。そこにMVNOが、価値観の異なる料金プランを掲げてくれば、ユーザーが動くかもしれない。MVNOはキャリアにとっての競争相手でもあります。

法林氏:料金プランを安くすると、一定数のユーザーが乗り換えするというのは、楽天モバイルが証明している。ただし、そのためには資本力が必要。2006年にMNPの制度が始まって、これまで17年ほどやってきたけれど、MNP向けの施策は、総務省からほぼ出ていない。キャリアの回線利用料金は下がったけれど、MVNO的にうまみはない。

石川氏:あと、一般的なスマートフォンユーザーだけじゃなくて、法人事業とか、キャリアがフォローしきれない、ニッチな市場が作られるメリットもあります。例えば、IIJは監視カメラ向けのSIMカードで先行している。一般ユーザーってダウンロードの機会が多いけれど、アップロードは少ない。MVNOは帯域を借りているので、上り下りの双方を満遍なく使ってもらいたい。その点、監視カメラは、ひたすら撮影したデータをアップロードするものなので、帯域の有効活用となる。その結果、MVNOは帯域をもっと借りることができる。

法林氏:監視カメラは24時間使うものだしね。

石野氏:キャリアがあまりやりたがらない、訪日外国人向けのSIMなどもそうですね。

石川氏:あと、IIJがこの前言っていたのですが、マルチSIMといって、1枚のSIMで2つのキャリアの回線が使えるサービスの構想があります。通信障害の時に安心だし、IoT機器にも使いやすい。これは複数回線を選べる、MVNOじゃないとできないサービスです。ただし、技術力を持っていないMVNOは、生き残れないでしょうね。

石野氏:マルチSIMは、コンシューマー向けにもいいですよね。

MVNOに中~大容量プランが増える可能性は?

房野氏:これからは、MVNOに大容量プランが増えていくでしょうか。

石野氏:実際に増えていますよ。

石川氏:接続料が下がっているので、大容量化は可能だと思いますが、サービス料を上げていくと、キャリアの使い放題プランに近づいていくので、さじ加減が難しいですよね。少しずつ使用量を増やしていく感じになるんじゃないですかね。

石野氏:日本通信の福田社長は、接続料は下がっている一方で、ネットワークの接続スピードが上がってると話していました。時間単位で消費できる帯域が増えるため、速度当たりの接続料がじわじわ上がっているようです。総務省は、その算定式を変えないといけなくなってきています。

石川氏:4Gとか、下手したら3G時代に作った基準でしかないからね。5G SAの時に言われていたのは、スライシングで契約できるようにするとか、容量単位ではない買い方を作らないと、どんどんデータが流れるから、MVNOにできるサービスが限界を迎えるということ。議論は進んでいるはずだけれど、なかなか結論が出ていませんね。

石野氏:昔は100MBが150MBになるといった上がり方だったけれど、今は1GBが2GB、5GBと一気に上がっている。それを今の接続料でやり続けるのは、厳しいですよね。

……続く!

次回は、楽天モバイルが受注したドイツ1&1社のネットワーク構築について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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