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楽天シンフォニーがドイツ1&1社のネットワークを構築、見え隠れするシステムを売って国際競争力を高めたい思惑

2024.01.21

システムを売って国際競争力を高めたい日本

石川氏:楽天シンフォニーのシステムはコストも安いし、導入しやすいんだけれど、そういったキャリアが世界にあとどれだけあるかっていうと、必ずしも多くない。まっさらな状態で始められるケースをグリーンフィールドって言うんですが、そんなキャリアは数が限られている。既存のネットワーク(ブラウンフィールド)を持っているけれど、5G化させたいとか、完全仮想化に切り替えたいっていうキャリアを探してこなきゃいけない。三木谷さんは「標的に入ってます」という感じで自信満々。お手並み拝見というところ。楽天シンフォニーが行くのか、あるいはドコモが、これまで複数企業の設備を使ってきたノウハウを提供するビジネスを「OREX」というブランドで始めたけれど……

法林氏:グループとして売りましょう、みたいなところがあるんだよね。

石野氏:元々、日本はベンダー1社に頼らないでやってきている。ドコモは特にそうなんですけれど、富士通からこれを買い、NECからあれを買い、ノキアからそれを買い、という感じで、機器を組み合わせてネットワークを作って提供してきた。今、それがようやく国際スタンダードになろうとしているので、ドコモはそのノウハウを世界へ売り出していきますという流れになっているんです。ただ、そのネットワークでパケ詰まっていたら、海外展開はちょっとなぁ……

石川氏:というのはさておき、そこに目を付けたのが岸田首相で、首相は国際競争力を強化する引き金にしたいと思っている。あるいは、楽天が世界で活躍してくれれば結果としてNECの機器も売れる。OREXがうまく進んでも、やっぱりNEC、富士通の製品が売れる。そこで国際競争力を高めたいという意図もあるから、じゃあNTT法を廃止するか、みたいな話になっているのかもしれない(笑)

房野氏:今回の楽天シンフォニーの売上規模感はどれくらいなんですか?

石川氏:トータルでは5000億円から6000億円。機器を売ったりネットワークを運用したりで、それぐらいの収益にはなる。

石野氏:1&1の場合、まず一旦、楽天がNECなどから基地局を買って、それを1&1に納入している。

石川氏:若干利益分を足している。

房野氏:売上が5000億円から6000億円だと、楽天のキャッシュフローにはかなり効果的ですよね。

石川氏:そうです。

房野氏:何年くらい売上が立つ計画なんでしょうか。

石野氏:採用状況にもよる。ただ、楽天シンフォニーを正式に会社として立ち上げたのは2年前だったと思いますが、楽天モバイルにだんだん売上規模が迫ってきています。1&1が成功して基地局をどんどん建ててくれれば、チャリンチャリンとお金が入ってくるし、おいしいビジネスではあると思います。

石川氏:以前、三木谷さんは、国内はトントンでいい、楽天シンフォニーで儲ければいいっていう話をしていた。国内は月間20万契約ペースを維持できているようで、しかも法人が強い。法人で契約を獲って、法人で楽天モバイルを試して使ってもらって、個人の楽天モバイルに切り替えてもらいたいっていう戦略らしい。楽天モバイルの契約者数が800万、1000万になってくると、結構面白くなってくる。当然、楽天には1兆円を超える社債の償還も迫っているので、時間との戦いなんですが、国内はなんとなく穴が埋まりつつある。すぐ使うかどうかは別としてプラチナバンドももらって、ブランドイメージも上がっている。海外では、1&1がスタートして楽天シンフォニーで稼げるようになってきたということで、やっと両輪が回り始めた。

房野氏:楽天は社債を償還しなくてはいけませんが、楽天シンフォニーの売上の目安が出てきたら、また社債を発行して繰り延べできるかもしれないですしね。

石川氏:銀行に、償還を先延ばししてもらう方法もあるらしいです。

石野氏:ゼロベースでキャリアを立ち上げたという実績ができると、うちも楽天シンフォニーにお願いしよう、じゃあうちも、となってくる可能性もある。

房野氏:新興国とか、どうでしょうね。

石野氏:新興国といっても、新しくキャリアを立ち上げる案件は、もうそんなにないんです。

石川氏:あったとしても、あまり儲からないというか、軌道に乗るまで時間がかかることも多い。だからドイツという場所も、良かったんじゃないですかね。

石野氏:ただ、まぁね、そんなに安くネットワークができるんだったらローカル5Gで使わせてくれとか、そういう話もいっぱい出てくるとは思う。そういう意味で、1&1のネットワーク構築を成功させるのは、楽天にとって重要。

石川氏:三木谷さんは、いろいろ引き合いがあるとか、話を聞きたいという声がたくさんあるとか言っているので、またどこかが決まると面白いことになる。

房野氏:もう1つぐらい、大きな話が欲しいですよね。

楽天のリスク要因は?

房野氏:ところで、ローンチイベントに、なぜ日本のマスコミは呼ばれなかったんですか?

石川氏:もともとイベント自体がこぢんまりしていました。50人、60人程度しかいなかった。

石野氏:料金プランやエリアを発表するとかもなかったし。

房野氏:でも、今後の楽天のことを考えると、結構インパクトのある話だと思うのですが。

石野氏:楽天にとってはそうですけれど、主役は1&1。楽天はあくまでネットワークを作っているだけ。例えば、ソフトバンクが新サービスを発表するイベントで、ソフトバンクのネットワークを裏方で支えているエリクソンの関係者が続々出てくるってことはないですよね。それと同じ。

法林氏:あくまでも楽天シンフォニーは技術供与というか、システムを提供しているだけの立場。

日本でやっている楽天の技術が海外に出ていくというのは、売上的にはプラス要素なんだろうけれど、そこが焦げ付いた時どうするの? というリスク要因は考えておかなくてはならない。1&1の経営が今後、どうなるかはわからないですから。

房野氏:前CEOだったタレック・アミン氏が退任した影響は何かありますか?

法林氏:それはわからない。

石川氏:本来であれば、このイベントはアミン氏が行くだけだったのかもしれないけれど。

石野氏:まあ、この規模だったら三木谷さんも行ったんじゃないですか。ドイツの大臣も来ていたし。

房野氏:ここから楽天モバイルは巻き返しのチャンスがありますよね。

石野氏:頑張っていると思いました。

石川氏:巻き返して1000万契約を超えてくると、また周波数が足りなくなってくるけど……

石野氏:あまり急いで巻き返し過ぎると大変なことになるかも。

石川氏:工事も必要になってくるので、そこがちょっと難しいなと。

石野氏:バランスが難しいですよね。

法林氏:法人契約の獲得も楽天市場への出展企業をはじめ、楽天グループの取引先に集中的に展開しているわけですよ。お付き合いで契約することで増えている。それはちゃんと儲かるネタなのかっていうことが結構微妙。以前は端末と回線がセットだけれど、今は回線だけeSIMで契約してデュアルSIM端末に登録します、というやり方もあるので、多少は契約しやすい環境なんでしょう。でも、それに頼っていると、いつかビジネスとしては厳しくなる。

房野氏:Rakuten最強プランだったら最低額だと1000円ちょっとですね。

石川氏:法人向けプランは、容量の上限があるデータ専用プランが3つありますよね。

石野氏:それに加えてRakuten最強プラン。

法林氏:まあ、多くの会社で使ってもらうのはいいと思うんですけれど、今、回線のつながり具合で文句が出ていない理由の1つは、取引先の企業なので、都市部にあるから電波が届くわけですよ。都市部じゃなくても、楽天モバイルを何に使いたいかというと、データ通信も使うけれど、やっぱり通話や会社連絡の通信がメイン。個人みたいに1か月に1TB使います、みたいな人は少ない。そこは回線の状況にもフィットしている。

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