東洋製罐グループホールディングスとおいしい健康、シャープの3社は、調味料の使用量のデータ化が可能な調味料IoTデバイスと専用アプリを組み合わせ、食塩使用量を見える化することで減塩調理を実現する調味料IoTサービス「ソルとも(Saltomo)」を共同で開発し、同サービスの早期実用化を目指して、実証実験の実施に向けた参画企業の募集を開始したことを発表した。
日本人の健康課題である「減塩」に、3社協業で挑戦
■背景
厚生労働省によると、健康維持のための目標量は男性7.5g/日未満・女性6.5g/日未満(※1)を推奨しているものの、日本人の1日当たりの食塩摂取量の平均値は10.1g(※2)であり、平均的な日本人の食生活で必要以上の食塩を摂取する傾向にあることが報告されている。また、食塩の摂りすぎは、生活習慣病などのリスクが高まる恐れも指摘されている。
こうした課題に着目し、東洋製罐グループとおいしい健康は、日本の食卓の「減塩」に貢献するべく、2019年に協業を開始し、2021年に資本・業務提携契約を締結。医師や管理栄養士、医療機関、介護施設のスタッフなど、健康に配慮した食の現場の声をよく知るおいしい健康の知見と、容器の素材・成型技術に長けた東洋製罐グループの技術力を活かしたさまざまな取り組みを行なってきた。2020年よりシャープも同取り組みに参画し、3社共同で検討を進めた結果、食塩の見える化が可能な調味料IoTサービス「ソルとも(Saltomo)」の開発に至った。
※1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より
※2 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」より
■調味料IoTサービス「ソルとも(Saltomo)」概要
食事療法が必要とされる疾病医療においては、食塩摂取量の管理が重要とされている。しかし毎日の食事で、調味料の正確な計量や食塩摂取量の計算を行なうことは非常にハードルが高く、十分な「減塩」を継続できないことが課題となっている。そこで3社は、同サービスを通じて、より簡単な「減塩」への取り組みをサポートし、多くの人の健康的な食生活の促進に貢献していく。
・2種類の調味料IoTデバイスにより、食塩使用量を自動記録
食塩などの顆粒調味料をワンプッシュで一定量(0.3g)出し、その回数から使用量を記録する「プッシュタイプ(※3)」と、醤油などの市販の液体調味料を設置し、その重量差から使用量を記録する「トレイタイプ」を開発した。
・専用スマートフォンアプリが、食塩使用量を見える化し、専用レシピを提案
調味料IoTデバイスで自動記録された食塩使用量(日付/種類/使用量など)を専用アプリから確認できる。また、食塩使用量のデータに基づき、ユーザーに適した減塩レシピを提案する。
・医療現場のほか、病気療養後や健康管理のために厳格な食事療法が必要な顧客を持つヘルスケア事業者や食品事業者に提供
調味料IoTデバイスと専用スマートフォンアプリを組み合わせることで、より簡単に顧客の「減塩」への取り組みをサポートできる。
※3 プッシュタイプについては、現在は食塩のみ対応。今後さまざまな調味料に対応予定。
■3社の役割
■調味料IoTデバイスの仕様
■今後の展開について
同サービスは、2025年度中の実用化を目指し、下記のような展開を想定している。
・調味料メーカー等のマーケティングツール
・医療現場やレストラン・カフェの店頭等でのサービス提供ツール
・一般消費者向けの減塩サポートツール
当初は食品メーカーなどに展開し、同サービスで取得したデータをマーケティング支援の業務に利用してもらう想定。また、医療現場での検証や、外食産業におけるテーブル調味料等の利用実態調査なども行ない、最終的には一般消費者向けに提供し、減塩トレーニングなどにも活用してもらえるよう、活動を進めていく。
関連情報
https://oishi-kenko.com/saltomo
構成/立原尚子