〝固定電話サービスが終了する〟といった内容のニュースを目にした人もいるかもしれません。実際には、固定回線に使われている「PSTN網を使ったISDN回線」を、「IP網」へと移行するというもので、固定回線サービス自体が終了するわけではありません。
本記事では、ISDN回線や、光回線との違い。ISDNの一部サービスの今後についてご紹介します。
2023年で一部サービスが終了する「ISDN回線」とは? 光回線との違いをわかりやすく解説
ISDNとは、「電話回線を利用した通信回線」の一種。ダイヤルアップという方式を使ってインターネットに接続する性質上、接続のたびに電話代がかかります。なお、2024年1月に終了するのは、NTTが提供するISDN回線であるINSネットのうち、ディジタル通信モードとなります。
一方、光回線は光ファイバーを利用した通信回線を指します。光ファイバーとは、石英ガラスやプラスチックでできた、光を通すケーブルのことで、光の反射や屈折を利用してデータを転送します。従来の電話回線よりも通信速度が速く、長距離の通信にも適しているとされています。
【参照】光回線とは?仕組みやメリット、用途、選び方までご紹介!|NTT東日本
【参照】「INSネット」をご利用の事業者さまへ|NTT西日本
まずはISDN回線の契約状況、料金を確認しておこう
ISDN回線、および固定電話には、「月額費用」と「通話料金」の2つがランニングコストとして発生します。月額費用とは、電話回線や電話番号を使うための利用料、通話料金は名前の通り、通話をすることで発生する料金となります。
NTT西日本における、固定回線の回線使用料は下図が目安となります。このほか、屋内配線使用料や機器使用料が発生する場合もあります。
なお、今回IP網へと移行することで使えなくなる、INSネットのディジタル通信モードを利用しているかどうかを確認したい場合は、NTTからの請求書に「INS通信料」という項目があるかをチェックしましょう。
【参照】ソフトバンク 固定電話にかかる料金とは?種類やメリット・デメリットも詳しく紹介
【参照】NTT西日本 基本料金
ISDN回線の一部サービス終了はいつ? 再延期の可能性はない?
INSネットのディジタル通信モードのサービス終了は、固定電話の需要が減少しているのに加え、設備が老朽化していることが主な要因となります。
INSネットのディジタル通信モードのサービス終了についてNTT東日本、NTT西日本の公式発表もチェック
NTT東日本、NTT西日本は、それぞれINSネットのディジタル通信モードのサービス終了に関するリリースが公開されています。詳しくは、それぞれのサイトをご確認ください。
【参照】NTT東日本 INSネットをご利用の事業者さまへ
【参照】NTT西日本 「INSネット」をご利用の事業者さまへ
ISDN回線の一部サービスが終了すると固定電話、FAXは使えなくなる?
INSネットのディジタル通信モードが終了した後も、現行のPSTN網がIP網へと移行するだけなので、基本的に固定電話といったサービスが利用できなくなるわけではありません。また、INSネットのディジタル通信モードのサービス終了に合わせて、「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」が2027年ごろまでを目途に提供されます。
INSネットのディジタル通信モードは、主にPOSやEDI、ビル管理といったビジネスシーンで活用されているため、これらを利用している企業は、対策が必要となるでしょう。
ISDN回線の一部サービスが終了するのはなぜ? 回線速度や設備の老朽化が原因?
INSネットのディジタル通信モードの終了は、先に触れた通り、「固定電話の需要減少」と「設備の老朽化」が主な原因とされています。なお、IP網への移行後も、固定電話の基本料金は変わらず、通話料金は全国一律で9.35円/3分となります。
※NTT東日本・NTT西日本の切替後の加入電話・INSネット・「ひかり電話」「ひかり電話ネクスト」「光回線電話」および「コラボ光ひかり電話(ひかり電話ネクスト含む)」(テレビ電話・データコネクト・データコネクト通信中の音声通話は除く)、他社加入電話、他社IP電話(050番号への通話を除く)へ発信の場合
※国際通話、携帯電話への通話、IP電話(050番号)への通話を除く
【参照】NTT東日本 料金
ISDN回線の一部サービス終了はセコムといったサービスにも影響する?
INSネットのディジタル通信モードは、POSやEDIなどに利用されていると紹介しましたが、自宅や会社の警備システムを提供する「セコム」でも、一部ISDN回線が利用されています。
そのため、該当のサービスを契約している個人、法人は、契約内容を改める必要があるでしょう。
【参照】セコム 法人向けセキュリティ(電話・通信回線について)
ISDN回線の一部サービス終了後にも使える代替サービスはNTTから提供されている?
本記事で紹介してきた通り、INSネットのディジタル通信モードの終了後も補完策が提供され、固定電話サービス自体が終了するわけではなく、PSTN網をIP網へと移行するという内容になっています。そのため、個人で固定電話を契約している場合は、電話番号や利用料金が変わることなく、基本的にそのまま使い続けることができます。
ただし、企業のシステムにINSネットのディジタル通信モードを利用している場合は、システムの切り替えといった作業が必要となる可能性があります。IP網への移行は2024年1月1日から。早めに対応しましょう。
※データは2023年12月下旬時点での編集部調べ。
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文/F.さとう