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明治が初めてカカオ豆から素材化に成功した保湿成分「カカオセラミド」は宝の山だった!?

2024.01.16

セラミド素材化後、未活用部位のプラスチック化も

カカオからセラミドを素材化した後に、未活用部位のカカオハスクを、植物由来プラスチックとしての活用する可能性について、植物、樹木に含まれる天然の多糖類の成分からバイオプラスチックを開発、製造をしているヘミセルロースの代表取締役社長 茄子川仁氏が言及した。

同社は独自技術によって、世界で初めて多糖類のヘミセルロースという成分からプラスチックの材料を実現し、製品化、量産化することに成功。美容ジャンルでは化粧品の容器や、ファンデーションのパウダーといった化粧品の原料の開発も行っている。

同社がバイオプラスチックを開発するにあたって重要視しているのが、植物の中でも食品、飲料に使われていない皮や茎、絞りかすといった植物残渣だけを原料にする未活用部位のアップサイクル。

植物そのものは強度が低い、熱に弱いといったよう様々な課題があるため、粉砕、抽出、乾燥、生成、合成といった様々な工程を経て、バイオプラスチックの製品に使用できる材料を作り上げている。

廃棄焼却される植物を活用したバイオプラスチックは、石油から作られたプラスチックと比較して、CO2の排出量が約60%削減できる地球環境に良い素材で、土の中、海の中でも微生物の働きによって分解することが可能になる。

同社が開発するヘミセルロースは、海中でも約30日間で90%以上が分解され、海洋プラスチックごみ問題の解決策としても期待されている。

「カカオハスクの成分分析をした結果、強度や耐熱性があるセルロースという成分と、やわらかさや混ざりやすさがあるヘミセルロースという成分が、ちょうど良い配合で存在していることがわかり、カカオハスクはそのまま丸ごと活用したバイオプラスチックができる樹脂材料であることを発見しました。

そこで当社ではカカオハスクが持つ性質を活用しながら、植物由来のプラスチックを配合し、100%植物由来のカカオ樹脂プラスチックを完成いたしました。カカオ樹脂プラスチックから、明治のみなさまにお使いいただいている名刺や、マカダミアチョコのトレイやチョコベビーの容器、その他プラモデル、化粧品の容器などいろいろな製品を開発しています。

カカオ樹脂プラスチックについては研究開発の中で次々に新たな可能性が発見されていますが、現在大きなチャレンジをしているのがカカオの繊維化。繊維には、洋服などに使われる長繊維と、マスクやおむつに使われる短繊維があり、カカオプラスチックについては両方の可能性があります」(茄子川氏)

【AJの読み】チョコレート製造で不要とされた部位から美容新素材が誕生

明治の松田社長からもあったように明治一社ではなく、異業種も含めたパートナーとの協業を通じて、カカオセラミドの価値を高め、世の中に届けるための新たなプロジェクトとして「meiji CACAO BEauty Project」を始動している。

本プロジェクトには、グローバルなネットワークを持つZero Gravity社と、国内外における化粧品分野での開発について協力をし、カカオセラミドの化粧品原料化を目指すほか、バイオプラスチックの分野で独自の技術を持つヘミセルロースと共に、カカオセラミド抽出後に残ったカカオハスクを使用した商品容器へのアップサイクルにも取り組む。

今後も協業パートナーを迎え、将来的にはカカオセラミドの化粧品への使用や商品化も目指していくという。

カカオ由来の2種類のセラミドのひとつ「グルコシルセラミド」の商品化として、アルビオンとコラボレーションした「カカオグルコシルセラミド」配合のチョコレート「meiji×ALBION CACAO DRIP」と、ゼリー入りドリンク「meiji×ALBION CACAO DRIP JELLY DRINK」を、サロン・デュ・ショコラ東京会場、サロン・デュ・ショコラ公式オンラインショップにて販売すると発表した。

実際にどのぐらいの量のカカオハスクを原料として利用できるのかについては研究の段階とのことだが、日本ではカカオハスクは年間で約5000トン程度出ており、明治はこのうち25%を占めるという。

「食べるときにグルコシルセラミドがどのくらいあれば効果が出るのかについては、1日大体0.6~1.2mgと非常に少ない量だと言われています。販売量にもよりますが、それほど大量に必要なものではなく、チョコレートにたくさん入れなければいけないものでもないと思います」(古賀教授)

「化粧品の使用においても、もともとセラミド自体はそんなに可用性が高いものではないので、乳液などに使うことが多いのですが、大体0.1%も入っていれば十分なぐらいの機能性を示すので、大量にないと使えないということではありません。ただ、日本はローションが多いのですが、海外でクリームがメインなので、グローバルでのニーズは非常に高いものになってくるのではないかと考えられます」(竹岡氏)

食べて良し、塗って良しの、セラミドのいいところ取りといえるカカオセラミド。カカオの未活用だった部分に高い付加価値を創り出すことで、サステナブルな美容素材としてカカオ産地にも好循環を生み出すことができ、化粧品業界の可能性をひらく素材と期待されている。

文/阿部純子

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