世界中から4000を超える企業が出展、参加者数は13万人を見込む
「CES 2024」サイトより
2024年1月9日(火)よりアメリカ・ネバダ州ラスベガスで始まった世界最大級のテクノロジー見本市「CES2024」。その開幕に合わせて、CESを運営する全米民生技術協会(Consumer Technology Association、以下 CTA)から、展示内容やコンセプト等を説明するリリースが発表されたので、その概要をお伝えする。
世界で最もパワフルなテクノロジー・プラットフォームであるCESは、今年、世界中から4000を超える企業が出展。世界規模の課題解決に取り組むための、人工知能(AI)やサステナビリティなど様々な分野でのイノベーションやパートナーシップについて発表が行なわれる。
参加者数は13万人を見込んでおり、ブレイクスルーとなるテクノロジーや世界を変えるようなアイデアの紹介が行われるEurekaParkに出展するスタートアップ企業数も過去最大となった。
CES 2024の出展企業に関する報道やソーシャルメディアは、すでに爆発的な盛り上がりを見せている。開幕前から最も話題になっているのは、AI、エンターテインメント、オフィス・ハードウェア、そしてゲームとeスポーツだ。
ディスプレイ技術、スマートホーム、アシスティブ・テックの先端技術を持つ企業や誰も予想していなかったパートナーシップや企業向けソリューションは、CESでの発表を通じて全世界へと広まっていく。
CTAの社長兼CEOであるGary Shapiro氏は次のように述べている。
「CES2024では、出展者、参加者、メディアが一堂に会し、今後のテクノロジーの方向性が示されると同時に、今日の最大の課題に取り組んでいます。CESは、ビジネスと政策が一体となって行われる場であり、B2BおよびB2Cの懸け橋となる、他に類を見ないイベントです」
CESには世界中から参加者が集まり、ビジネスを効率的に行なうだけでなく、テクノロジー業界の未来を知ることができる。
1月9日午前(現地時間)に行なわれたCTAのStateof the Industry AddressでShapiro氏は、CESのオーナー兼プロデューサーであるCTAの100周年を祝うとともに、きれいな空気や水へのアクセス、食糧不安、医療のアクセシビリティといった問題に対処するために、人類の可能性を高めるテクノロジーの重要性を強調。
またCTAのシニアバイスプレジデントであるKinsey Fabrizio氏はShapiro氏とともにステージに上がり、CES2024でのトレンドやセッションの最新情報を紹介した。
基調講演のハイライト
シーメンスAGの代表取締役社長兼CEOのRoland Busch氏は、革新的かつサステナブルな未来に向けたビジョンを基調講演で話説明した。
AWS、Blendhub、レッドブル・レーシング、ソニー、Unlimited Tomorrowとの強固なパートナーシップに加え、現実世界とデジタル世界を融合し、現実を再定義するイノベーションを発表。
シーメンスは、産業メタバースを実現するAIと没入型エンジニアリングのブレイクスルーとなるオープンデジタルビジネスプラットフォーム「Siemens Xcelerator」を発表し、これらのテクノロジーが世界のイノベーターにどのような力を与えるかについて講演を行なった。
CES初となる美容業界企業による基調講演では、ロレアル・グループのCEOであるNicolas Hieronimus氏が登壇。
CES2024でイノベーションアワードを受賞した「Airlight Pro」を紹介した。また、同社の美に対する今後の戦略的投資についても説明した。
さらに俳優のEva Longoria氏が登壇し、Hieronimus氏、同社の副CEOでリサーチ、イノベーション、テクノロジーを担当するBarbara Lavernos氏とともに、ロレアルのヘアカラー製品「Colorsonic」について話した。
「AirLight Pro」はZuviとのパートナーシップのもと、多様な髪に関するニーズに応えると同時に環境負荷軽減を実現する技術を採用している。
同技術は、ハードウェア、ファームウェア、そしてアプリがシームレスに動き、あらゆるユーザーのニーズに合わせ設定をカスタマイズできるよう設計されている。
Media Daysのハイライト
Media Daysは、1月7日と8日(現地時間)にMandalay Bayで開催され、世界的なブランドによる23の記者会見が行なわれた。
Abbott、Ambient Scientific、ボッシュ、斗山、EssilorLuxottica、Harbor Lockers、現代自動車、ハイセンス、Indy Autonomous Challenge、Ink Invent、KIA、LGエレクトロニクス、Ottonomy、パナソニック、サムスン、SKハイニックス、ソニー、Swapery、TCL、Timekettle、UHD Alliance、Valeo、フォルクスワーゲンから発表が行なわれ、CES2024の公式開幕に先立つ2日間のメディア・イベントに関する報道の60%を米国外からの報道が占めた。
CES2024における注目製品
CES Unveiled Las Vegasは、CES2024で発表される製品をいち早く紹介するもので180社以上が参加した。会場では、キャタピラーの排ガスゼロの坑内ローダー、NOWATCHのウェルネス・ウェアラブル、SevvyのSmart Cooker、Xpeng AEROHTの空飛ぶ車などが紹介された。
また、Verge MotorCyclesがカメラとセンサー付きの電動バイク「TS Ultra」を発表したほか、脳卒中患者のリハビリを支援するPalmplugのVRゲーム「Theraplay」、XREALのARサングラス「Air 2 Ultra」が注目を集めている。
前出のKinsey Fabrizio氏は次のように述べている。
「CES Unveiled LasVegasは、毎年CESの幕開けにふさわしく、CESのトレンドをいち早く見ることができます。アクセシビリティ、デジタルヘルス、フードテック、モビリティ、スマートホームなど多様な展示の中で、いたるところでAIが活用されていることがわかります」
■2024 Tech Trends to Watch
CTAのテーマ別研究担当ディレクターのBrian Comiskey氏とリサーチ担当ディレクターのJessicaBoothe氏は、2024年の注目すべきトレンドを発表した。
今年の発表では、いかにAI、サステナビリティ、インクルーシブ・テック・デザインが今後のモビリティ、デジタルヘルス、コンテンツ、ゲーミング、アグリフード・テックにおけるテクノロジーの発展をけん引していくかについて語られた。
また、これらのトレンドや発展がインターネットにいち早く接続され、世界的なトレンド形成に貢献するZ世代の台頭によるものであることにも言及している。
一方で、コンシューマ向けエンタープライズ向けのイノベーションはよりインテリジェントで持続可能、かつインクルーシブな未来に向けて発展していくことも予想している。
250を超えるカンファレンス・セッションと、世界の政策立案者を対象としたイノベーション・ポリシー・サミットに加え、CTAは本日、「Consumer Technology Circularity Initiative(CTCI)」を発表した。
これは、廃棄物の削減、再利用の促進、リサイクルの強化、気候変動への影響の低減、家電製品の廃棄量削減を目的とした画期的な業界自主イニシアチブとなる。創設パートナーには、レノボ、LGエレクトロニクス、パナソニック、サムスン、ソニー・エレクトロニクスが名を連ねている。
関連情報(英語)
https://www.ces.tech
構成/清水眞希