3. 【2024年3月開始】口頭弁論のオンライン実施が可能に
従来の民事訴訟制度においては、口頭弁論のオンライン実施は認められていませんでした。したがって、原告・被告双方の当事者(または代理人)が裁判所に足を運び、対面での口頭弁論に臨むことが必須でした。
2024年3月より、ウェブ会議によって口頭弁論を実施することが認められます(改正民事訴訟法87条の2第1項)。
裁判所が相当と認めるときは、当事者の意見を聴いた上で、口頭弁論期日をオンラインで実施できるようになります。
なお、口頭弁論において行われることがある証人尋問や当事者尋問については、オンラインで実施できるのが以下の場合に限定されています(民事訴訟法204条、210条)。
(1)証人(当事者)が遠隔の地に居住するとき。
(2)事案の性質、証人(当事者)の年齢または心身の状態、証人(当事者)と当事者本人(他の当事者)またはその法定代理人との関係その他の事情により、証人(当事者)が在廷して陳述すると圧迫を受け、精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき。
2024年3月から口頭弁論のオンライン実施が解禁されても、証人尋問・当事者尋問のオンライン実施に関する上記の要件に変更はありません。
ただし2026年5月までには、上記の場合に加えて、当事者に異議がない場合にも、証人尋問・当事者尋問をオンラインで実施できるようになる予定です(改正民事訴訟法204条3号)。
4. 口頭弁論のオンライン実施のメリット
民事訴訟では、原告と被告の住所地が離れているケースも多く、遠方の裁判所で開催される期日に出席するのはかなり大変です。
口頭弁論がオンラインで実施できるようになれば、遠方の当事者でも民事訴訟に参加しやすくなるメリットがあります。
また、代理人弁護士も遠方から民事訴訟に参加しやすくなります。
当事者にとっては、有能な弁護士に全国から依頼できるようになる点もメリットといえるでしょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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