2024年3月1日より、民事訴訟(裁判)の口頭弁論がオンラインで実施できるようになります。
民事訴訟のIT化(オンライン化)は近年着々と進行しており、2026年5月までに完全施行される予定です。その中でも、民事訴訟において最も重要な手続きである口頭弁論のオンライン化は、大きな一歩であるといえるでしょう。
本記事では、2024年3月から開始される民事訴訟の口頭弁論のオンライン実施について、その意義や変更点などを解説します。
1. 民事訴訟のIT化(オンライン化)の進捗状況
日本の民事訴訟制度については、欧米諸国やアジア諸国に比べた際に、IT化(オンライン化)の遅れが指摘されています。現在でも、日本の民事訴訟手続きは対面・紙ベースが原則とされており、IT化が十分に進展したとはいえない状況です。
その一方で2022年4月以降、「民事裁判書類電子提出システム(mints)」を通じた書面の電子提出制度がほぼ全面的に運用されています。
また、民事訴訟手続きのIT化を定めた改正民事訴訟法が2022年5月18日に国会で可決・成立し、同月25日に公布されました。
同改正法は段階的に施行される予定で、2023年3月からは弁論準備手続および和解期日の完全オンライン実施が解禁されています。
そして2024年3月より、同改正法に基づき、民事訴訟のメインである口頭弁論がオンラインで実施できるようになる予定です。
さらに今後は、オンライン上での訴状提出や訴訟記録の閲覧・複写、判決書の電子化などが2026年5月までに導入されるスケジュールとなっています。
2. 口頭弁論とは
口頭弁論とは、裁判所の公開法廷において、当事者が主張・立証を行う手続きです。
実務上は、期日間で提出される書面によって主張・立証を行うのが通例となっています。
しかし、日本国憲法82条1項において裁判の公開が要請されているため、公開法廷で行われる口頭弁論は、民事訴訟の根幹を成す手続きと位置付けられています。