米ドルの金利上昇や、政府の投資促進策などを背景として、米ドル・円をはじめとする外国為替取引に取り組む方が増えています。
外国為替取引によって利益が出た場合には、所得税および住民税が課されることがあります。利益の額や他の所得の状況などによっては、確定申告が必要になることもあるのでご注意ください。
本記事では、外国為替取引にかかる税金について解説します。
1. 外国為替取引にかかる税金の種類・課税方法・税率
外国為替取引によって利益が出た場合には、所得税および住民税が課されることがあります。
なお、通常の外国為替取引と外国為替証拠金取引(FX)では、課税方法や税率が異なります。
1-1. 通常の外国為替取引|雑所得として総合課税
以下の取引は「外国為替取引」と総称されています。
・日本円を売り、米ドルなどの外国通貨と買う取引
・米ドルなどの外国通貨を売り、日本円を買う取引
・米ドルなどの外国通貨を売り、別の外国通貨を買う取引
手持ちの日本円または外国通貨を売買する通常の外国為替取引によって得た利益は、「為替差益」と呼ばれます。
たとえば100万円で1万ドルを買い(1ドル100円)、その1万ドルを売って150万円を得た(1ドル150円)場合には、50万円の為替差益が生じます。
為替差益は「雑所得」として総合課税の対象です。
総合課税とは、他の所得と合算した上で課税されることを意味します。
会社員の方であれば給与所得、自営業の方であれば事業所得などと為替差益を合算した金額に対し、所得税と住民税が課されます。
総合課税の場合、所得税については、所得金額が増えるほど税率が高くなる「累進課税」が採用されています。これに対して、住民税の税率は一定です。
※所得税については、基準所得税額の2.1パーセントに当たる復興特別所得税を別途納付する必要があります(2037年分の確定申告まで)。
※住民税については、所得割の税率です。所得割とは別に、均等割を5,000円納付する必要があります。
1-2. 外国為替証拠金取引(FX)|先物取引に係る雑所得等として申告分離課税
FX業者に対して証拠金(保証金)を預けた上で、それを担保にレバレッジ(倍率)をかけて行う通貨の売買は「外国為替証拠金取引」または「FX」と呼ばれています。
FXによって得た利益は、通常の外国為替取引による為替差益とは異なり、「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象です。
申告分離課税とは、他の所得と合算せずに、同じ種類の所得の間だけで損益通算をした上で確定申告を行い、その内容に従って課税されることをいいます。FXとの損益通算の対象となるのは、先物取引・オプション取引・CFD取引などです。
先物取引に係る雑所得等に適用される税率は、所得金額にかかわらず、所得税15.315%(復興特別所得税0.315%を含む)、住民税5%とされています。
参考:No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係|国税庁