セックスレスはもはや日本の社会問題だ。セックスレス夫婦の割合は年々増加しており、日本家族計画協会等が20~49歳男女2,918人に行った「第4回ジェクス・ジャパン・セックスサーベイ2020」のセックスレス調査では、婚姻関係にあるカップルの51.9%がセックスレスとの結果が出た。
このたびレゾンデートルでは、ジェクス・ジャパン・セックスサーベイを上回る男女4,000人を対象とした、夫婦のセックスレスに関するアンケート調査を2023年10月に実施(調査名「夫婦のセックスレスに関する実態調査」)。
今回の第1報では既婚者に占めるセックスレス状態の人の割合(男女差や年代差などを含む)を分析するほか、過去の同種の調査では明らかになっていない「子どもの有無」や「夫婦仲」とセックスレスの関係、既婚者の性的欲求不満などについて分析した。
既婚者のなかでセックスレス状態の人はどれくらい?
日本性科学会の定義(1994年)では「性的接触が1か月以上ないカップル」をセックスレスとしているが、1か月は期間が短すぎて実情に合っていないように思える。
仕事や育児などで疲れていたり、体調が思わしくなかったりすれば、1か月以上性的接触(※)がないケースはざらだろう。
※挿入を伴わない性的コンタクトを含む。
そこで、本調査では本人の認識を重視し、「ややセックスレス」「セックスレス」と回答した人をセックスレス傾向、「セックスレス」と回答した人を完全なセックスレス状態と分類した。
では、20~50代の既婚者4,000人のなかで「自分は配偶者とセックスレス」と認識している人はどのくらいいるのだろうか。
実に、20~50代既婚者の68.2%がセックスレス傾向と回答しており、そのうち43.9%が完全なセックスレス状態と回答した。
夫婦間の性交渉が一般的に少なくなる50代を除き20~40代に限定しても、64.5%がセックスレス傾向、そのうち37.6%が完全なセックスレスになる。
避妊具メーカーDurex社が2008年に公表した報告書「グローバル・セックス・サーベイ」によると、日本人の年間セックス回数は48回で世界最低ランクであり(1位はギリシャの年164回)、世界平均の年103回の半分に遠く及ばない。性生活の満足度も24%と、世界平均の44%を大きく下回る。
同調査では、欧米圏は軒並み回数・満足度ともに高い傾向にあり、東アジア圏は低い傾向にあるが(中国:年96回・満足度22%、台湾:年88回・満足度37%)、それでも日本の低さは群を抜いており、日本は世界トップクラスのセックスレス大国といえるだろう。
(参考)産経新聞:既婚者のセックスレス47%の衝撃 年々進むレス過去最多 日本の夫婦の回数は世界平均半分以下の年◯回
(参考)社会実情データ図録:世界各国のセックス頻度と性生活満足度
男女別、年代別で見るセックレスの割合
続いて、男女の割合の違いをみていこう。
男性の方が女性よりも「自分は配偶者とセックスレス状態にある」と認識している点が興味深い。後ほど紹介する性的満足度の調査でも明らかになっているが、女性の方が性的満足を求める程度が低い傾向にある。
男性の方が「配偶者との性的接触が足りない」と感じる割合が高く、それが「セックスレス」の認識の男女差に反映していると推測できる。
続いて、年齢による違いを男女別にみていこう。
男女とも30代でセックスレス傾向の割合が急に高くなっていることが見て取れる。男性では、20代:53.4%→30代:71.4%となり、完全なセックスレス状態の人が25.2%から41.8%に急増し、それ以降は40代:74.8%、50代:80.8%と上昇は緩やかになっていく。
女性も20代:51.0%→30代:67.8%と急増し、特に完全なセックスレス状態の人が16.4%から39.2%と、倍以上に拡大する。男性よりも40代から50代の上昇が急だが、閉経などの生理的な現象による性欲減退の影響が大きいのだろう。