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パナソニックグループは、2024年1月9日から12日まで米国ネバダ州 ラスベガスで開催中の「CES 2024」に「Create Today. Enrich Tomorrow.」をコンセプトに多彩な製品を出展している。
本稿では同社プレスリリースを元に、パナソニックグループブースの概要をお伝えしていく。
【パナソニックグループブースの出展概要】
●期間/2024年1月9日(火)~12日(金)
●場所/Las Vegas Convention Center(LVCC) Central Hall ブース#17609
●出展規模/1412平方m
パナソニックグループが思い描く将来のくらしとその実現に向けた取り組み
入り口のステージでは、パナソニックグループの経営理念や、地球環境問題の解決とより良いくらしを両立した「パナソニックグループが思い描く将来のくらし」の考え方などをプレゼンテーションする。
また、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」についても紹介している。
■Sustainable Energy(CO2排出削減)
パナソニックグループは、家から社会へと電化を広めることで、再生可能エネルギーを最大限活用した、自立分散型のエネルギー社会を目指している。
会場ではくらしの電化や、再生可能エネルギーの活用、自立分散型のエネルギーマネジメントの実現などに貢献する製品・ソリューションを紹介する。
■車載(EV)デバイス&ソリューション
EV普及の貢献につながるパナソニックグループの広範な車載デバイス・ソリューションを紹介。同グループの製品・技術が車内の様々な場所で活用され、どのように環境課題解決や快適な車室と安心安全の実現(Well-being)に貢献しているかを、光やタッチパネルを使い直感的に展示する。北米では初めての展示となる。
■A2W(Air to Water)ヒートポンプ式給湯暖房機
パナソニックの「A2W」は、屋外環境の熱を集めて熱交換を行なうため、化石燃料を用いた従来の暖房機器に比べてCO2排出量を削減できる環境にやさしい暖房システム。
また、システムの稼働状況を遠隔監視することも可能で、万が一のトラブルにも迅速に対応が可能だ。
欧州では2008年より市場参入しており、2023年5月には日系メーカーとして初めて環境に配慮した自然冷媒R290を採用した新製品を発売した。
■グリーン水素製造デバイス
パナソニックHDは、グリーン水素(再生可能エネルギーを使用して作り出した水素)の製造装置のデバイスに使用される水電解システム用の高性能電極を開発している。
電極触媒には希少な材料が使われることが多いが、この電極は、ニッケルと鉄からなる層状複水酸化物(Ni-Fe LDH)を用いた貴金属フリーの高活性触媒材料を特徴としている。
また、面積効率が従来技術の約3倍になり、水電解設備のサイズを約3分の1にすることが可能だ。この電極を利用することで、水電解システムの性能を大幅に向上させ、グリーン水素の製造コストを大幅に削減することができる。
2025年以降のなるべく早い時期にテストサンプル出荷を目指しているという。
■セントラル空調システム(全館空調)
パナソニックが提唱するセントラル空調システムのコンセプトを展示する。本システムでは、設定温度に合わせて気温が変化するたびに空気を送り込む通常の全館空調に比べ、常に設定温度の空気を循環させ、温度を均一に保ち、CO2排出量の削減に貢献することを目指す。
また、換気技術により、快適でクリーンな空気環境の提供にも役立つ。
■分散型電源管理システム(DERMS)
DERMSは、最新のIT機能を活用し、再生可能エネルギーの発電と連携することで、顧客のコミュニティへの安定的な電力供給の実現をサポートする管理システム。
再生可能エネルギーが普及する社会では、各地域における電力安定化が必要不可欠となるが、パナソニックHDのDERMSは、家や職場(オフィス・工場)でエネルギー機器を制御するシステムを提供してきた技術・ノウハウを活用。
地域内にある分散型のエネルギーリソース(DER)を制御して、省エネと快適性を実現する。さらに蓄電・送電機能を強化することで、再生可能エネルギー特有の不安定な出力への対策にも貢献する。
また、これらを構成するシステムへのサイバー攻撃を監視し早急に検知するシステムにより、DERMSの安全性を確保する取り組みもパネルや映像で紹介。DERMSの今後の事業展開についてはさまざまな可能性を検証している。
■水素を利用した再生可能エネルギー・ソリューション(RE100ソリューション)
パナソニックが提案するRE100ソリューションは、必要な電力需要や設置場所に合わせ連結可能な5kWタイプの純水素型燃料電池を使用。
太陽電池、蓄電池を組み合わせて高度に連携制御することで、電力需要の変化や天候による再生可能エネルギー出力の変動に合わせて電力需給調整を行ない、発電の余剰や無駄をおさえて再生可能エネルギーを安定的に供給するソリューションだ。
日本では2022年4月から滋賀県草津市の燃料電池工場で実証を開始、2024年度には英国の自社電子レンジ工場およびドイツで実証を開始する予定だ。
■V2H蓄電システム
EVと蓄電池の同時充放電に対応した業界初のソリューションになる。パナソニックが提供しているIoTホームエネルギーマネジメントシステムのAiSEG2との連携により、太陽光で発電した電気の自家消費の向上を実現。気象警報に連動したEVや蓄電池への自動充電や、停電発生時でも、業界トップクラスの自立出力が可能になるなど、日常に近い生活を送ることを可能にするという。日本では2023年より事業化されている。
■ペロブスカイト太陽電池
パナソニックHDのペロブスカイト太陽電池は、従来の結晶シリコン系の太陽電池と同等の発電効率を有し、実用サイズ(発電有効面積800平方cm以上)のモジュールとして世界最高レベルの発電効率18.1%(第三者測定機関による認証値)を達成している。
また、従来の結晶シリコン系の太陽電池では、透光性やデザイン面の観点から窓などのガラス部への設置が課題だったが、パナソニックHDがプロトタイプを開発した「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」は、独自のインクジェット塗布製法と、レーザー加工技術を組みあわせ、ガラス基板上に発電層を直接形成することで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度が向上。太陽電池の設置場所の大幅な増大に貢献できる。
CES 2024では、「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」の用途を分かりやすく理解頂くためビルに適用したモックアップも展示する。
2023年8月より、「ガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池」のプロトタイプを用いた実証実験を神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンで開始しており、2028年を目処に実用化を目指している。